社長を相続したら家族まで破産!?怖い経営者の個人保証

 

社会人になったばかりの娘が破産!?

 

かつて印刷会社の女性社長が
疲れ切って相談に来られました。

「もう借金を支払えない」と。

 

旦那さんが若くして他界し、
奥さんが会社を継ぎました。

しかし、経営環境の変化で仕事は激減。

借金を返すためにさらに借金を重ね、
うちの事務所に相談に来られたときには
消費者金融からも借り尽くしている状態でした。

僕は、いつものように債務整理を受託し、
自宅の任意売却等に着手しようとしました。

債権者である銀行にその旨のお手紙を出して・・・

 

その時です。

銀行から、会社の倒産を契機に
連帯保証人に請求の内容証明が送られてきたのです。

それが社長の奥さんだけでなく、
奥さんの娘さんたちにも。

 

奥さんには、子育てのため家庭に入った20代半ばの娘と、
新卒で社会人になったばかりの2人の娘さんがいました。

その2人にまで借金の取り立てが来たのです。

正直想定外だったため、本当に驚きました。

 

奥さんは社長なので、
個人保証と称される、
社長による会社の借金の連帯保証をしているのは
普通です。

会社で借金を払えないとなれば、
社長個人へ請求されても何の不思議もありません。

 

問題は、娘さんたちです。

親子関係だろうがなんだろうが、
法律上は別人です。

「親の借金だから子供も払え!」
の主張は通じないのです。

相手は銀行なので、
法律的根拠のない請求をしてくることはないでしょう。

それなのになぜ・・・?

 

 

個人保証まで相続

 

その原因は、亡夫の相続にあったのです。

生前会社を経営していた夫は会社で銀行からお金を借り、
その個人保証をしていました。

亡くなったとき、
経営権は奥さんが承継しましたが、
個人保証は家族全員に相続されてしまったのです。

子供たちが深く考えないで押したであろう遺産分割協議書により、
娘たちは連帯保証を相続してしまいました。

その後会社が倒産したことで、
支払い義務が顕在化し、
銀行から請求されることになったのです。

 

娘さんたちはまだ20代。

借金を返済できるような資力もなく、
破産をすることに。

人生これからというときに急に降ってきた悲劇です。

「なんで私たちまで・・・」という言葉が印象的でした。

 

 

マイナスも相続してしまう

 

この悲劇から教訓を得なければいけません。

まず押さえておいていただけいたいのは、
相続は「すべてを相続するということ」です。

別の表現をすれば、預金とか家とか、
美味しいところだけを相続することはできないのです。

借金も相続します。

そして、連帯保証も。

 

連帯保証は、当人が亡くなったときに
その存在を見落としやすいものです。

巷の社長の相続をはた目で見ていると、
危機感なく、
社長だった親や夫のことを相続している場合があります。

僕からすると非常に怖いことです。

相続しても大丈夫かしっかり確認してください。

 

 

相続放棄で身を守る

 

相続の性質を知ったところで、
娘さんたちが破産しないで済むには
どうしたらよかったでしょうか。

それは、相続放棄です。

子供であっても親の相続を放棄することができます。

そうすれば相続というレベルにおいては、
親と子は赤の他人として扱われます。

当然借金の請求は通用しなくなるのです。

 

この相続放棄をするには
自らアクションを起こさなければできません。

なにもしなければ相続したことになってしまいます。

それが嫌ならば自ら家庭裁判所にて
相続放棄の手続きを行わなければなりません。

できる期限もあります。

 

注意しなければいけないのは、
相続権を持つ者が「相続を認めたようにふるまう」と
その時点で
「自動的に相続したことにされてしまう」点です。

この事例では、亡き父が不動産を持っていて、
その名義変更のために遺産分割協議書を作っていました。

その協議書に、娘たちも実印で押印していたのです。

これは明らかに
自らが相続人だということを前提とした行為であり、
後で「やっぱり相続放棄をしたい」となっても
認めてもらえなくなります。

 

娘さんたちが相続放棄をしていれば、
会社の借金とは無関係であったため、
破産をしないでも済みました。

ただし、相続放棄では、
死者のすべてを相続できなくなるので
財産があっても相続できなくなります。

場合によっては、
それはもったいないことになります・・・
相続放棄をしてリスクを回避しつつ、
でも、財産は相続したい。

これが本音でしょう。

はたしてこれを実現する術はないのでしょうか。

これは次回の記事で検討してみたいと思います。

 

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