法律的に会社を手に入れるということ

「会社を継ぐ」や「会社を手に入れる」とは、どいうことなのでしょうか。形式的な意味、法律的な意味から考えてみましょう。

まず社長に就任すること

まず社長になれば会社を継いだことになると考える方は多いでしょう。事実、社長になれば会社を代表する権限を持ちます。

社長がYESと言って書面に押印でもすれば、基本的にその契約等は有効になります。たとえ社内の意思決定ができていなくても、役員の多数が反対派していようと、それは第三者である相手には通じません。

従業員レベルの仕事ならば「社長の決済がおりなかったので、今回の件はなかったことにしてください」という言い訳は通じるかもしれません。でも、社長が言ってしまったことは、そうはいきませんね。

対外的には「社長≒会社」と見られます。

代表取締役就任の登記をする

なお、社長に就任することの形式的な要件は、法務局に登記をすることです。代表取締役就任の登記をし、会社の登記簿に名が載れば形式面でも社長になったと言えます。

その登記の際に、会社の実印として利用する印鑑を法務局に登録することになっています。これが『会社印』や『代表印』と呼ばれるもので、個人でいうところの『実印』と同じ役割を果たします。

個人の実印を証明する『印鑑証明書』と同様のものが、会社の場合は法務局で発行してもらえます。

 

社長は株式も手に入れる

社長に就任すればそれで安心でしょうか。

そんなことはないと思います。

たとえば、株主総会で社長になったあなたの解任決議が成立したら、あなたは社長の職を失います。決議さえ可決されれば、社長を辞めさせることは一般従業員を解雇することよりもずっと簡単です。

ゆえに、中小企業で会社を継いだというためには「会社の株式も手に入れる必要がある」と言えそうです。

上場企業と異なり、普段の仕事で株式や株主を意識することはほとんどないでしょう。

しかし、法律的な仕組みは上場企業でも中小企業でも同じです。そして、会社のオーナーである株主の権限はとても強いのです。

だから社長が自ら株式も取得し、株主となってしまうのがセオリーです。身の安定を図りましょう。小さい会社だからこそなおさらです。

株式の大半を持っていればいいのか、という論点もあります。

「全ての株式を所有するのでなく、自力で決議ができるレベルの大株主になっておけば十分じゃないか」という主張です。

僕としては、この主張は否定したいところです。やはり、株式を社外の人間に持たれているとトラブルが発生するリスクを高めてしまいます。

株主がその気になれば、株主の権限を使って嫌がらせや妨害がかなりできます。株式の問題が人間関係のトラブルに発展する場合もよくありますからね。

「すべての株式を社長が持つ」が、基本スタンスになると考えます。

株式はどうやて入手するか?

上記の話をふまえ、株式をすべて後継者が持とうと決めたとします。しかし、簡単に後継者のもとに株式が集まらない場合が多々あります。

たとえば、先代が株式を後継者に贈与したら、目が飛び出るような贈与税がかかることがあります。

かといって、お金出してまで買い取るのも・・・と、思う方もおおいでしょう。

いずれにせよ、税金面を充分にケアしながら、確実に後継者に株式が手渡される道筋を作らなければなりません。そのために遺言などの法律ツールを使うこともあるでしょう。

長期戦になることもありますが、とにかく早めに手を打っておくべきです。税金の問題は、時間が私たちの味方してくれます。

 

後継者は代表権と、株式とを

「社長になって代表権を手に入れること」

「株式を手に入れること」

この2つがそろって、法律的に会社を手に入れたと言えることがおわかりいただけたと思います。

実務では、後継者が、「会社の借金の個人保証するように」と債権者から迫られることがあります。しかし、この記事の内容を考えれば、2点を満たせてからすべきという結論になるでしょう。

会社が完全に自分のものになったか、さもなくば、ほぼ確実に自分のものになる状況でないならば、銀行などからの要請は拒否して当然だと思います。

下手に個人保証をしてしまうと、継ぎ方の選択肢が制限されることにもなってしうのでご注意ください。どんな継ぎ方があり得るかは、こちらもお読みくだされば。
「後継者が仕掛ける会社の革命」

後継者が家業に入社してから社長になるまでに

会社に入社したら、各セクションで働いて会社の仕事の全体を見えるように・・・といったよくある話ではなく、この記事ではもっと先を見据えた、後継者の社内での振る舞い方を考えてみます。

自由を手放すな

後継者が成功できるか否か。一番の要素は『自由』だと思っています。

成功している後継者社長は、家業に入ってから自由にやらせてもらっていた傾向があります。逆に成功した例で、親である社長の指示通りに動いていたり、先代のせいで自由できなかったというケースは知りません。

先代が後継者に社長を譲った後になっても、いつまでも会社に口出しをしてくる・・・。これはよくあるケースですが、上手くいかない典型例でもあるわけです。

伝統工芸の救世主としてメディアにも露出の多い中川政七商店の十三代中川政七社長も「先代である父のやっていた第一事業部と、自分がやっていた第二事業部は、場所が離れていたから、報告だけしていれば、あとは好きにやれたのがよかった」と語ります。

自由だから成功するわけではありません。失敗するときは失敗します。それでも、自由にやれなければ成功することはないと考えましょう。

人の成長というものは主体的に取り組み、トライ&エラーを重ねていくことで実現できるものだと思います。自分なりにやって自分の経営スタイルを見つけるしかありません。

スタッフを切りまくってでも?

私の知人で、成功している後継者社長には、社長になる前から合わないスタッフの首を切りまくった方がいます。「自分はこんな会社を作りたい」というビジョンがあり、それに合わない人には辞めてもらったそうです。

こんな話を聞くと、ひどいとか、非人道的だとか、法律問題だ・・・と過剰に反応する方がいるかもしれません。

しかし、それでは雇用される側の視点と何ら変わりません。社会的な常識を背景に正義感をむき出すのもちょっと違う気がします。

経営者を目指す方には、自分のビジョンを実現するためにここまでアグレッシブな姿勢で取り組む後継者がいたことを知って欲しいと思います。はたして、ここまでやりきる志やエネルギーが、あなたにありますか。

「世の中にこんな価値を提供する」といった、会社が実現すべき目的や使命が核です。あとは、それを実現するためにうまくやるだけです。

スタッフの件をとっても、どんな人を集め、どんな待遇にするかは、会社の目的や使命を実現するための手段だと考えるのが経営者的発想だと思います。

事業承継だといっても、起業的なマインドは不可欠です。特に今のような世の中が変わっていくときにはそうでしょう。

先代から会社を受け継ぐだけでなく、自分のビジョンも持っていなければなりません。そのままやるだけでは、会社は劣化していく一方でしょう。

会社は受け継ぐものであるとともに、あなたが活かす対象でもあります。

いっそ自分の会社を作ってみる?

話がややそれましたが、自由がとてつもなく大切だということは、押さえておいてください。

そもそも経営の本質は自由を確保するための戦いだとも言えそうです。

顧客や取引先は自己の利益を得ようとします。反対の立場になれば、こちらの自由を奪う振る舞いです。

大きな会社になれば株主に経営の自由を制限されている場合もあるし、従業員の力が強い会社では、社長は思い通りの経営をさせてもらえないときもあります。

後継者が社長になったときに、古株の幹部社員の存在に手を焼くというのもよくある失敗パターンですが、これだって自由を奪われた状態ですね。

自由が失われればそれだけ経営的に失敗する可能性が高まります。後継者は、このことを意識しておかなければいけません。

自由はどんどん少なくなるものだから、自由を確保するようにしておきましょう。社長になる前から心がけておくべきことです。

先代社長がいてまったく自由やらせてもらえないようなケースだったら、別の新会社を設立してしまい、そちらの経営を自由にやらせてもらうというのも一手です。

たとえば製造業だったとして、販売だけを別会社にして、そちらを後継者候補の方が経営するも可能だと思います。

自分で会社を立ち上げる経験は、経営者としての成長につながるので、結構おすすめの方法だったりもします。

社長になるまで個人保証はしないこと

経営の自由を奪ってくるもののひとつに借金もあります。それを社長が連帯保証する、いわゆる『個人保証』には注意してください。

会社の借金と個人ががんじがらめにされてしまうので、社長になるまで(実質的にも形式的にも)後継者といえど個人保証をしてはいけません。たとえ銀行が求めてきたとしても、です。

継ぎ方の可能性を相当狭めてしまうことになりかねません。

採用と金庫番

精神論が多くなってしまったので、最後に具体的な話で締めくくりましょう。

社内で味方を増やし、リーダーシップを発揮できるようにするため、採用を後継者のあなたが担当してはどうでしょうか。そこで採用されたスタッフは、あなたに採用してもらったと感じることになるはずです。

また、予算の決済があなたのハンコなしでは承認されないようにするのも一案です。

お金を引き出すにはあなたのハンコが必要となると、自然と地位が高まり存在感が増してきます。予算の意義を理解して判断するといった内容面の話ではなりません。(もちろん、そこまで分かっていたほうがいいでしょう)

予算を引き出すにはあなたのハンコを押してもらわなければいけないという形式が、自然とあなたに力を与えることになります。

家業を継ぐ前に他社で経験を積むべきか?

家業に入る前に他社ではたいてみるべきか?

たとえば高校や大学を卒業して、すぐに家業に入ったほうがいいのでしょうか。もしくは、ひとまず他社に入って外の世界に入ったほうがいいのか。こんな論点があります。

会社を継いだことのある経験者、とくに成功している後継者社長に質問してみたところ、大半の人は「一度他社に就職してみて、外の世界を知った方がいい」と答えます。

その理由には「自社しか知らないと発想が限られてしまうし、自社の常識に凝り固まってしまう」という意見が多くありました。

また、自社に入れば仕事がわからない若造でも、後継者候補という一目置かれた人材として扱わるケースが多いでしょう。これに対し「親の威光が届かない世界で、理不尽を経験してみたほうがいい」とう意見も聞かれました。

 

どんな会社で経験を積むか

いきなり家業に入るより、その前に他社へ入社してみる派の方が優勢なようです。ただし、どんな会社に入るのかはよく考えたいところ。

例えば、会社の大きさの問題があります。

自社と同じ業界のリーディングパニーに務めるケースがあります。

家業は中小企業で、務めた先は大企業だったとしましょう。すると仕事のやり方や内容は全然違うのが普通じゃないでしょうか。たとえ同じ業界であってもです。

大手のほうは通常、分業化され、仕事のこなし方が洗練されています。一方の家業はその真逆のケースも多いはず。洗練されていなくて、一人の人間がいろんなことをしなければ仕事が回りません。

大手に入れば業界の先端に触れられますが、会社の全体像は見えません。また、分業などの洗練された仕事スタイルを当たり前と感じるようになるでしょう。これはいざ小さな会社で働きだしたときにギャップで苦しむことにつながる可能性があります。

千葉の物産を扱う株式会社やますの諏訪寿一社長にお話を聞ける機会がありました。諏訪社長は13年前に父親からバトンを受け継ぎ、グループ会社を7社、スタッフは50人から220名に増やしています。

自分の経験から「親の会社を継いだら、これぐらいの会社に成長させたいと思うぐらいの会社を見つけて入社した」と、語ってくださいました。

こんな考え方もありですね。大学の同級生は上場企業などの大手に就職する人ばかりで、どうしてそんな名前を知らない会社に入社するのかと、周囲からは不思議がられたそうですが。

 

別の論点では「同業で働くか、他業種で働くか」もあります。

自社と同じ業界で働けば、仕事は覚えられるし業界内の人脈も作れそうです。

しかし、業界の常識に凝り固まってしまうマイナスもありそうです。他業種で働いていたのに、家業に入ってから会社を成長させた後継者社長はいくらでもいます。

 

 

どこで経験を積めばいいのか正解はないと思います。後になってみなければ、実際の良し悪しはわからないものでしょう。

最後は、成長できる経験を積むことを念頭に、自分の感覚を信じるしかないのかもしれません。

 

何年修行するか?

他社に入社した後の論点は、何年ぐらいそこで働くか、でしょう。こちらはケースバイケースな気がします。

ただ、いろいろ話を聞いていると、できる人ほど短期間で会社を辞めた傾向があるように思えてきます。

石の上にも3年と言います。でも、それより短い期間で会社を辞めて成功した後継社長はたくさんいます。できる人ほど見極めが早いものなのかもしれません。

あまり組織に守られた状況が続くと、いわゆるサラリーマン根性が染みついてしまうという弊害も出てきそうです。

仕事によっては、長く修行をすべきだという常識に縛られている場合があるようです。しかし、実際はどうなのか、を見極めたいところですね。

家業や会社を継ぐか悩んではいけない

家業や会社を継ぐか悩んでいませんか?

親が事業をやっていたり、社長から「会社を継がないか?」と誘われている方で、どうするか悩んでいる方はいませんか。

しかし、家業を継ぐか悩んでしまっている時点で、黄色信号が点灯しているかもしれません。

僕が知るかぎり、成功している後継者社長から「家業を継ぐか否かで悩んだ」という話をあまり聞きません。彼らの中では、当たり前のように立場を受け入れた人が多数派です。

また「先祖が続けてきた家業だから残さなければいけない」という義務感で継いだ人もきわめて少ない気がしています。むしろ、義務感や伝統を重んじて継いだ後継者社長ほど苦戦しているような気がします。

では、義務感でなければ、なんで会社を継いだのか。

それは、試したいアイデアがあったり、実現したいビジョンをもっていたから継いだように見えます。具体的でないものの、会社を継いで面白いことができそうだぐらいのイメージであったり、と。

自分の軸で考える

家業を継ぐか否かいつまでも迷い続ける人と、あっさりと事業承継を決断して後継者になる人がいます。その差を僕なりに考えてみました。

継ぐか否かを悩んでいる方の思考はこのようなものではないでしょうか。

「今は会社勤めをしていて安定している。しかし、家業を継いだらどうなるかわからない」

「自分が継がないために家業がなくなるのもさびしいけど、そのために何かを捨てる勇気が持てない」

「親は家業を継いで欲しいみたいだし、継いで家族や親族にいい顔をしたい気持ちも正直ある・・・」

これらの悩み方を見てみると、自分の外にある要因で揺れているように思えてきます。判断の根拠を自分の外にあるものに頼っている状態なのかもしれません。

しかし僕の知る成功した後継社社長たちは考え方が違います。

彼らの思考は「あくまで自分がどう生きるか」です。自分がどんな人間で、どう生きたいかが判断の軸になっています。あとは自分の軸を基準にしてシンプルに判断するだけです。

彼らにとって家業は継がされたものではなく、自らの意思で継いだものです。問題や課題があっても自分の努力で乗り越えていけばいいと思っています。

道を切り拓ける人の思考はこのようなものです。だからこそリーダーシップも宿るのでしょう。

あなたが会社を継いだほうがいいかはわかりません。それでも、自分の軸を確立して、自分の意思で決断したほうがいいことは間違いなさそうです。

義務感=受け身

義務感で経営していてはとても成功できません。義務感で会社を継いだ人の成功が難しくなる理由は、受け身の姿勢につながることです。

「やらないきゃいけない」が「やらされている」につながります。

また、義務で会社をやらされたとすれば、その会社は腫れ物に触るようなデリケートなものになってしまいます。

 

当然、消極的な姿勢でうまくいかないことはわかりますね。

環境は大きく変わっていくので、昔と同じことをやっても成功できなくなっています。

経営とは、自らのビジョンを前のめりになって実現するものです。

やるか、やらぬか、どちらの道を選ぶか?

会社を継ぐか、継がないか。さあ、あなたはどちらを選びますか。

個人的にはどちらでもいいと思います。正解はありません。とにかく、自分の軸にしたがって決めましょう。

仮に継がないという結論になってもいいでしょう。それが自分の軸から出した結論ならば。

たとえば、「私は、なにより身の安定を最優先する」という自分の軸を見出し、起業に雇用される生き方を選んだとすれば、堂々とその道を歩んでください。

自分の人生なんだから、後悔しないようにしたいですね。

そして、もし家業を継ぐという結論を出したのならば、後は積極的な姿勢で仕事と経営に臨むべきです。

自らの意思で、能動的に会社を継がなければ成功はおぼつきません。

 

後継者の会社の「継ぎ方」トップ

会社や家業を継承するための戦略

家業を継ぐかどうか迷っている方。

すでに後継者となることを決め、「この先どうやって継いでいこうか」といろいろと考えている方。

そんな事業継承の後継者候補の方への僕なりのメッセージを書き出してみました。

社長のおくりびとの奥村が、事業承継のデザインや再生のコンサルティングを積み重ね、、取材やインタビューもしてきたことで得られた承継のコツや法則をお伝えできれば幸いです。

そもそも事業承継の成功とは?

後継者の立場からして、事業承継を成功させるとはどういうことでしょうか。まずは行き先を明確にしておきたいところです。

ゴールを明確にし、そこに至るルートを逆算していきましょう。

後継者が事業承継を成功させたというには2つのポイントを満たさなければいけません。

まずは形式的は話です。会社を自分のものにすることです。会社の株式を手に入れ、代表権も手に入れる必要があります。

もう一つの要素は、会社の経営的な成功です。

①会社を手に入れること

②商売を成功させること

この2点を頭に入れて、以下それをクリアできるようにするための戦略を考えていきましょう。

継ぐか否か、悩んでいる?

後継者サイドからの事業継承の戦略を考える前に、そもそも継ぐかどうかという判断を越えなければなりません。この記事を読んでらっしゃる読者の中にも、まさに今悩んでいる方がいるかもしれません。

しかし、家業を継ぐか悩んでしまっている時点で、将来の成功への黄色信号が点灯してしまっているかもしれません。※詳細はリンク先へ

「家業や会社を継ぐか悩んではいけない」

会社に入社する前に他社で務めるべきか?

家業に入る前に、他社を経験したほうがいいか。どんな視点でその会社を選んだ方がいいかを考えます。※詳細はリンク先へ

「家業を継ぐ前に他社で経験を積むべきか?」

入社してから社長になるまでに

後継者候補として会社に入ってから、何をして、何に注意するかを考えてみます。リーダーシップや学び、経験など、後継者社長として成功するまでの実質面について。※続きはリンク先へ

「後継者が家業に入社してから社長になるまでに」

法律的に「会社を手に入れる」とは?

会社を承継することの形式的(法律的)な意味と方法をお伝えします。形式面からそこで起こり得るトラブルも洗い出します。※続きはリンク先へ

「法律的に会社を手に入れるということ」

商売が不調や、借金が膨張していても

営業面や財務面で会社の状況が芳しくなくても、あきらめるのはまだ早い。後継者だからできる立て直しの方法をと伝えします。※続きはリンク先へ

「後継者が仕掛ける会社の革命」

 

「これからの会社を継ぐ方」へのおすすめ

奥村聡の本

会社を継ぐ方、これから継ごうとする方、ぜひ、奥村の著書をお読みください。会社を現代の環境に適応させる目からうろこの手法を届けます。

0円で会社を買って、死ぬまで年収1000万円 (光文社新書)

 

今ある会社をリノベーションして起業する(ソシム)

 

継業を学ぶ

これから会社を継ぐ方には、奥村が主宰する『継業スクール』もおすすめです。

個人が会社を買って経営を引き継ぐ方法を学ぶための機会ですが、実は後継者の方にこそ役立つ面が多々あります。

他では学べないコンテンツが盛りだくさんです。

「継業スクールについて」

 

後継者支援のお仕事について

奥村聡は後継者支援のお仕事もしています。どんな様子かをお知りになりたい方はリンク先の記事をお読みください。

「事業承継の後継者支援について」

 

★このブログを書いている人って?★
社長のおくりびと”奥村聡について

★引退や事業承継に関心のある社長のコミュニティ★
「それでも、社長のおわりに挑む会」

 

後継者が仕掛ける会社の革命

後継者だからできる会社再生がある

借金が大きくなり過ぎた会社。

営業をすればするほど赤字になっている会社。

こんな会社をうかつに継いではいけません。自らの首を絞めることになります。

事業承継の世界では「親が作った借金を子供が引き継いで、苦労しながらも・・・」とお涙頂戴の美談が好まれます。でも、僕に言わせれば、そんな事業承継は下策です。

後継者のみなさんには、もっとしたたかに、戦略的に会社を承継してもらいたいと思います。

そして、一見「借金が大きすぎる」とか「稼げていない」とネガティブに思われる会社でも、まだまだ可能性はあったりします。

第二会社方式と事業承継

会社を再生手法する手法に『第二会社方式』と呼ばれるものがあることをご存知ですか。痛んだ会社を、良い部分と悪い部分の二つに分けて、良い方だけでも生き残らせようとする手法です。

たとえば過大な借金を抱えている会社で、でも借金の重荷さえなくなれば事業としてやっていけそうな会社があったとします。

このとき、借金と事業を会社分割などの手法を使って別の会社に切り分けます。すると事業を引き継いだ会社の財務内容は劇的に改善されますね。これならば事業を継続できるはずです。

こんな第二会社方式は、いくつかある再生手法のなかでもスピードやコスト、信用性の維持で優れています。

しかし、いざ使おうとするといつもネックになることがあります。

「誰がきれいになった新会社をやるのか」です。

だって、社長が「第二会社方式を使うので借金を返せなくなりますが、事業は引き続きやらせてもらいます」なんてお願いしても、そんなの都合が良すぎますよ。もちろん債権者は承諾してくれません。

個人保証があるでしょうから、強引にそれをやろうとしても難しいものがあります。

現場では、第二会社方式を使った後、整理された会社を担う人がいないケースが多いのです。

後継者のあなたならば、何かピンときませんか。

そう、この第二会社方式と後継者への事業承継の組み合わせは、大きな可能性を秘めます。

会社は、継がされるから、活用するへ

既存の事業承継の常識を変えてみましょう。

これまでは先代社長からの視点で、「継がせよう」という発想でばかり語られてきました。

それを後継者からの「いかに継ぐか」という視点に変えてしまいます。後継者は子供でも、血のつながらい第三者でも同じです。

財務内容の悪さは、承継後の後継者の首を絞める爆弾です。しかし、必ずしもそのまま継ぐ必要はなく、分社の手法を使っていい部分だけを取り出して継ぐことができます。

また、現状では稼げない事業になっていたとしても、提供する価値を見直すことで
稼げる事業に生まれ変わらせることができるかもしれません。

たとえば空室だらけのアパート経営から転換して、外国人向けのゲストハウスへシフトチェンジするようなイメージです。

私はこのような後継者目線で「既存の会社を活用するような事業承継のやり方」を
『リノベーション起業』と名付けました。

今までのような、後継者が会社を継がされる、という受け身からのスタンスは終わりです。これからは、後継者が既存の会社を活用する時代です。

会社をそのまま継ぐのではなく、加工して次代につないでいくのがスタンダードになるでしょう。

リノベーション起業のやり方

リノベーション起業のやり方を簡単に説明しましょう。

まず、後継者は会社を題材に何が必要かの選別を行います。

事業をいくつかやっている会社ならば、その中で残したいものは何か。必要な資産は何か。場合によっては一緒にやっていくスタッフも選別しなければいけないかもしれません。

選別した後は、その部分を別の会社に移して、後継者がそちらだけを経営します。

残された会社には、役に立たないものだけが残るでしょう。どうやっても黒字にできない事業や、銀行からの過剰債務などだけです。

これらは、会社ごと法的に処理してしまうこともできるし、細々と先代が営業しながら続ける場合もあるかもしれません。

この取組みにより後継者の会社は、一瞬で財務内容や事業内容が良くなるはずです。

しかし、事業本来の力がなければ、いずれ昔と同じようになってしまいます。今の時代に合わせた価値を提供できる事業を築かなければなりません。

これまでどおりでは、いつか上手くいかなくなるものです。この点は忘れてはいけません。

子供でもリノベーション起業ができるのか?

子供が後継者の場合に、
「そんな既存の債務の責任を負わないで、新しく作った会社だけできるのか」
と、疑問を持たれる社長がいらっしゃるかもしれません。

結論から言いますと、可能です。子供と言っても法律上は別人格として扱われます。子供だからといって、親の作った借金の責めを無条件に負うようにはできていません。

後継者に連帯保証をさせるな

あくまで法律上別人格だからこの手法が使えるとお話しました。

しかし、連帯保証などで既存の負債と法律上のしがらみができてしまったら、そうはいきません。

ときに子供や経営幹部などを、会社の借金の保証人として差し出している会社があります。こうなるとリノベーション起業を利用できなくなる可能性が著しく高めてしまいます。これだけは避けていただきたいものです。

銀行にはオープンに

リノベーション起業の話をすると、銀行に損をさせる結果であったり
銀行に黙ってコソコソやるイメージを持つ方が多いようです。

私はそんなことは言ってませんし、そのスタンスには大反対です。あくまで銀行にとっても悪い話ではない絵を描くべきです。

「普通にこのまま会社を廃業させるよりも、リノベーション起業に取組むことで、債権者への配当額を増やせます」

こんな話を持ち掛けられるようにしなければいけません。そして、情報をオープンにして、債権者からも同意を得ながらプロジェクトを進めるべきです。

さらに詳しく知りたい方へ

リノベーション起業については、詳しく説明しようとしてもとても書ききれません。

ご興味をお持ちの方は、私の本を読んでいただきたいところです。
(宣伝のようになって恐縮です)

『今ある会社をリノベーションして起業する~小商い“実践”のすすめ』

次代の転換期を迎えている現代において、新陳代謝を促し、新たな価値を生むこの手法は重要になってくるはずです。

100年以上続く老舗だって、ずっと同じことを繰り返してきたのではないと言います。変革の連続で続いてきたのだと。

そう思えば、代替わりのタイミングで、会社のリノベーションを行うことは合理的だと考えられます。

後継者と先代社長に、勇気をもってリノベーション起業に取り組んでいただきたいと願います。