事業承継税制とは(特徴とメリット、導入について)

事業承継税制が新しくなります

事業承継を専門的にあつかっているため、僕のところにその導入について質問が寄せられることがそれなりにあります。
また、税理士さんと組んで一緒にスキームを作ることもあれば、社長のブレインとして他の専門家が書いた企画の採用可否を検討することも。
そのような立場から、新しくなった事業承継税制を考察してみました。

自社株の相続税問題の所在

そもそも株価対策や事業承継における相続税の何が問題になのかピンと来ていないという方のために、一度整理をしておきます。
中小零細企業の場合、社長が自社株式のほとんどを有している場合が大半です。
社長がお亡くなりになれば、その株式は家族に相続されます。
その際、会社の財務状況が優良だと、株式が高く評価されることがあります。
株式が高く評価されると結果的に相続税が増えてしまいます。

対象が自社株式だという点も厄介です。
不動産や上場企業の株式ならばいざとなれば換金もできます。
しかし、小さな会社の株式には流通性がほぼありません。
時には、換金できないものを手にいれるために、多額の税金を払うという酷な結果を強いられることもあります。

自社株式の株価が低くなれば、問題は解消されます。
相続税は減るし、生前のうちに後継者に株式を移転させることだってやりやすくなります。
その為にあえて会社の利益を減らしたり、財務内容を悪くするといったスキームが使われることもありました。
本末転倒と言ってしまえばそれまでですが・・・

新しくなった事業承継税制は使えるのか?

これまでの事業承継税制の利用は、ほぼ考えられませんでした。
事業承継の節税手段としてまったく利用できない手法のとして、頭の中から切り捨てていたぐらいです。
しかし、2018年の改正を受け、使える場面は増えるのではないかと感じています。
会社の状況によっては有効でしょう。

とはいえ、世の中小企業の多くの会社にとっては、あまり関係のない改正だったりもします。
この事業承継税制は、相続税の対策を立てなければいけないぐらい株が高く評価されてしまう会社でなければ活用することはありません。
負債に比べてかなり資産が大きい場合などがこれにあたります。
事業承継をひかえている会社で、特段株価対策が必要となる会社は全体から見ればそんなに多くありません。
一部の専門家の頭では「事業承継=株価対策&相続税」になっていますが、その認識は現実とのギャップがあります。

また、株価対策が必要であっても、そんなに大きくない会社(年商1億円ぐらい?)ならば、従来の株価の引き下げ策などで十分だとも考えます。
退職金や生命保険を活用したり、と。
手続の手間などを考慮したら、事業承継税制の利用は避けておきたいところでしょう。
このような理由で、事業承継税制を使う必要がある会社は少数派です。
ここに該当しない会社はこの先を読む必要はありません。

事業承継税制は廃業増加を回避するのか

僕のところには政策としてどうなのかという質問もたまに寄せられます。
横道にそれますが、政策としての事業承継税制の意味も考えてみます。
その質問の意図は、現在の事業承継問題を改善できるのか。
ひいては後継者不在による廃業増加の問題に対する効果があるのかを聞くことでしょう。

この点について僕としては、ほぼ効果なし、と考えています。

事業承継税制は確かに使いやすくなりました。
しかし、この制度を使うのは、それなりの規模の会社であったり、財務内容が良い会社になることはすでに述べました。

これらの会社において、はたして「後継者がいないから廃業する」というケースがどれほどあるでしょうか。
状況がいい会社なのだから「後継者になれるならならせて欲しい」というニーズは多いはずです。

また、仮に適任者がいなくてもМ&Aで売却できる可能性は高いところでしょう。
事業承継税制が改正されなくても、そもそも廃業することはなかった会社だということです。

廃業予備軍に対して歩み寄る制度になっていない時点で、正直、廃業増加を食い止める効果はほぼないと思います。
むしろ、状況の良い会社をさらに後押しする制度のため、優良な会社とそうでない会社の二極化をさらに促進する可能性も感じます。

 

事業承継税制の中味

事業承継税制にはどんなメリットがあるか?

前置きが長くなりましたが、制度の中味を見ていきましょう。

事業承継税制は、株価が高いことによる相続税問題を解消することを狙って作られました。
事業承継問題を背景に、中小企業が次代に事業をバトンタッチしやすくするため、特例を使えば相続税を減らしてあげますよ、という趣旨です。
2018年からは、事業承継計画を各都道府県に提出することで、自社株式の評価を100%オフになる可能性ができました。

例えば通常ならば10億円と評価された株式が、0円として扱われるわけです。
すると相続税だってグイっと下がります。
場合によっては、何千万、何億もの相続税が削減されることもあり得えるかもしれません。
自社株式に対する相続税がまるまるかからなくなるということで、会社によってはとても大きなメリットを享受できそうです。

事業承継税制活用の詳細

メリットが大きそうな事業承継税制ですが、それなりの条件や義務も課せられます。
なお、この先の話は分かりやすくするため簡単にしている面があります。
導入の際は、税理士さんと相談しながら慎重に進めてください。

【1】事業承継税制が使える条件
【2】5年間の事業継続の条件
【3】5年経過から免除になるための条件

事業承継税制が使える条件

事業承継税制を利用するための前提条件です。

・中小企業であること

資本金基準、または従業員数の基準のいずれかで、中小企業に該当していることが条件となります。
・筆頭株主である先代社長から、株式と経営権を受け継ぐこと
この点、先代と後継者の要件につき、今回の改正で緩和されましたが、めったにないケースでしょう。

・適用期限

2018年4月から2023年3月までの5年間の間に事業承継計画を各都道府県に提出する必要があります。

・管理会社ではないこと

資産管理のためだけの会社は使えません。例えば、不動産を管理するための法人の場合です。ただし、リアルな営業所があって、親族外の雇用があるような場合は管理会社とはみなされません。

5年間の事業継続の条件

事業承継税制が適用されるためには、5年間の事業継続が必要とされています。
事業継続の定義は下記となります。
これに該当しなくなるときは、本来支払うべきだった相続税に利息を加えて納めなければいけなくなります。

①社長であること
②株式の継続保有
③80%以上の従業員の継続雇

今回の改正による要件緩和は?

事業承継税制は前からありましたが、ほとんど使われることはありませんでした。
利用の最大の障害となっていたのが、「株式の継続保有」と「従業員の継続雇用」の要件のためでしょう。
たとえば、とても良い条件でМ&Aによる会社買収の話を持ちかけられても、株式を売却すると「株式の継続保有」の要件にひっかかります。

また、急な不況などで人員を削減したくなっても、80%の従業員雇用をキープしなければいけませんでした。
私が知る会社でも、このあたりを危惧して事業承継税制の利用を見送ったケースがあります。

事業承継税制の利用を妨げていたこれらの要件につき、今回の税制改正で救済策が準備されました。
たとえば、経営状況の悪化等の正当な理由があれば、8割雇用を満たせなくなっても直ちに打ち切られることがなくなったり、と。
このことで使い勝手が大幅に改善され、利用を検討する余地がある制度になったと思っています。

免除になるための条件

免除までの最後の条件です。
ここまではあくまで、納税の猶予でした。
「相続税を本来払わなければいけないけれど、支払いを猶予してあげますよ」というレベルです。
これを、相続税を納める必要まで免除してもらうにはどうしたらいいでしょうか。

これは利用から5年経過後も株式を継続保有ことです。
最終的には、事業承継税制で株式を受け継いだ社長が亡くなったときか、同人がさらに次の後継者に株式を引き継いだときに免除となるようです。
こう考えると、免除まではなかなか長い話になってしまうことが分かります。

結局のところ、事業承継税制はオススメなの?

いろいろと書いてきましたが、結局のところ事業承継税制はどうなのでしょうか。
この点については、僕の完全なる主観であり、また適用の可否は対象となる会社によって大きく異なります。
その上であえて評価するなら、できるだけ使わない方がいいと思っています。

利用には手間がかかります。
それは費用やエネルギーが必要となることを意味します。
また、免除まで勝ち取ろうとすれば長い時間が必要です。それまで、特例利用のために動いてくれていた税理士がずっと面倒を観てくれるかも分かりません。
かなり緩和されたとはいえ、制度の利用により、将来の自由が制限される面は依然として残ります。

『技に走る者は技で足元をすくわれるもの』だと思っています。
事業承継税制はあくまで本来納めるべき税金の猶予であることも忘れたくありません。
ならば、前々から事業承継を見越した準備をすすめ、このような制度を使わなくても乗り越えられるようにしておくことこそ王道だと思います。
安易な利用推進に警鐘を鳴らさせてください。

それでも事業承継税制を導入したいならば

事業承継税制の利用は、あくまで手段でしかない点は忘れて欲しくありません。
本来の目的やゴールは何でしょうか?
広い視野で事業承継を見渡せば、税金問題は事業承継の一部の小さな話だったりすることがあります。
ところが、税金問題で目を奪われと、他の大切なところを見落としてしまうことはありがちなパターンです。
手段が目的化してしまっているのですね。

手段の用い方には工夫も必要です。
自分たちに合うように上手に使わなければいけません。

言ってしまえば税理士等の専門家だって手段です。
専門家は自分の専門分野のことしか見えていない場合が多く、その分野を最適化させることが別のところを悪化させるケースがあります。
専門家だからと言いなりになってはいけません。
力を引き出しつつ、上手に活用できなければいけません。

こういった意味で、事業承継、さらには会社経営から個人の相続といった全体を見渡せるディレクターのような存在は求められるのでしょう。

 

事業承継のご相談はお気軽に

事業承継デザイナーの奥村聡は、相続問題だけでなく、会社経営から人間関係などまで横断した事業承継支援を行っています。
事業承継に関するご相談は何でもお気軽にお寄せください。

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(参考サービス)

「事業承継デザイナー顧問」
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事業“承継”計画づくり支援
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次世代後継者支援について

 

第三者への事業承継の概論

血のつながらない人間を事業引継ぎの後継者に

『血縁がない者』に事業を継がせるケースもあります。

親が社長をやっていたとしても、親の会社で子供が働いていないケースが増えているので、近頃、この第三者パターンの事業承継の割合は増えています。

ただし、同じ親族外に承継させるケースでも、

①経営幹部や従業員などの内部人材に事業承継する場合

②まったくの外部の人材に会社をゆだねる場合

でまったくアプローチは異なります。。

後者は『継業(けいぎょう)』などと呼ばれることもあるようです。
→「継継業とは(外部の第三者へ承継)

 

第三者承継は、子供がいないときの代替策か?

事業承継のセオリーでは、子供の後継者がいない場合の代替策として、この従業員や社外人材への承継が考えられてきました。

たしかにこれまではそうだったのかもしれません。しかし、現代のように変化の大きな時代となると、血縁か否かよりも、後継者の持っている能力や人徳の方が重要となっている気がします。

ゆえに、時には子供がいるのに、あえて血縁がない人材を会社の後継者に選択するケースもあります。

 

血縁を重視するか否かに正解はないので、先代社長が何を大切にするかの問題です。

ファミリービジネスにこだわるのか、会社の存続なのか。事業の内容や組織的に、どんな人材をトップにした方がいいのか。さらに後継者候補の姿勢や能力は・・・

まずはご自身の『ものさし』をはっきりさせることが大切なのでしょう。

 

第三者を後継者にする場合の問題点

血がつながらない人物を後継者と決める場合、その人の能力や人間性は認めている場合が多いはずです。「こいつなら会社を任せてもいい」と思っての判断でしょうから。

そうなると、第三者への承継の場合は、ソフト面よりも手続や形式面での問題がネックになりやすいのでしょう。

 

たとえば、株式をどうやって手渡すか。

相手は血縁ではないので、「ほっておいても相続で株式が手に入る」ということはありません。何か特別な手を打っておく必要がでてきます。

→「血のつながらない従業員後継者に株式を承継

また、後継者の資金力が乏しく、株を買取ることが難しいケースもあります。こんなときは分社の手法を使うなどの工夫が必要な時もあります。

→「従業員には分社して承継する?

 

第三者への事業承継のお手伝い

事業承継デザイナーの奥村聡は、事業承継のお手伝いを得意とします。後継者が第三者のケースでは、より価値あるコンサルティング等ができるでしょう。

法的手続だけでなく、経営や数字面、さらには後継者との間に入った意見調整まで担えます。後継者さがしに乗り出す場合もあります。

まずはお気軽にお問合せください。

(参考サービス)

第三者後継者への事業承継支援

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子供への会社引継ぎの概論

 子供に会社を引き継ぐ場合

一番オーソドックスな事業承継といえる『子供への会社引継ぎ』を考えてみます。

シンプルな形態ですが、けっして簡単ではない事業承継のかたちです。上手くいかなかったケースは、ちまたには山のように積みあがっています。

また近年、事業継承のパターンの中で、この子供が会社を引き継ぐケースの割合は減少傾向にあります。背景に価値観や生活環境の変化などがあるためです。

子供が大学や就職で地元を離れて帰ってこなくなるケースがその典型。事業を営む親も「会社を継ぐよりも、大企業の従業員や公務員などの安定した職の方がいい」と考える人が増えたように思います。

 

子供への事業引継ぎの問題点の数々

「親がやっていた会社なんだから子供が継ぐのが本来の形」と考える方は今でも多いのでしょう。時代は変わっても、それが基本かもしれません。

 

しかし、あまく見ては痛い目に合うかもしれません。事業承継で親子関係がこじれてしまうケースや多々あります。

後継者候補として入社させたものの、社長である親と上手くいかなくなって結局会社を去ってしまった・・・などはその典型です。関係が近いからこそ感情的になったり、距離感を詰めすぎたりしやすいのでしょう。

 

親の方は会社を継がせたいのに、勤め人になった子供にはその気がないというパターンも。最近では反対に、子供は会社を継いでもいいと思っているのに、親の方がそれを許さないというケースも増えてきたような気がします。

会社の現状や業界の先行きから、子供に事業継承をしたら不幸にさせてしまうと考えるのでしょう。

 

複数のお子さんがすでに入社して働いている場合、誰を後継者として選んだらいいのかという悩みを抱える社長さんがいらっしゃるかもしれません。

後継者の経営者教育はどうしたらいいのかに頭を悩ませている社長もいらっしゃるかもしれません。

そもそも事業が稼げていない。借金が膨らんでいる。「こんな会社を継がせていいのか」という悩みを抱えている社長が多くなっているのも、成熟社会を迎えた今どきの事業承継です。

(参考)
「誰に事業を引き継ぐべきか」
「借金が大きくなり過ぎた事業引継ぎ」

 

会社引継ぎの論点は3つ

後継者が無事に決まったとしましょう。次は具体的な承継のやり方を詰めることになります。ポイントは、①経営権、②株式、③後継者育成に分けて考えられます。

①経営権では、決裁権や裁量の後継者への引継ぎがテーマです。社内でのリーダーシップの問題も含まれるでしょう。

「“経営権”を後継者たる子供に譲る」

 

②株式は、所有物としての会社の引き継がせ方を問います。法的にどのように承継するかと、それに付随する税金の問題があります。

「“株式”を子供に継承する」

 

最後の③は社長を務められるようにするための後継者教育の問題です。

「事業継承の“後継者育成”を考える」

 

お子さまへの事業承継のお手伝い

事業承継デザイナーの奥村聡は、貴社の事業承継のお手伝いをしています。

法的手続だけでなく、経営や数字面、さらには人間感情面まで踏み込んで出口まで導きます。

まずはお気軽にお問合せください。

(参考)

事業“承継”計画づくり支援

●「事業承継デザイナー顧問」
継がせられる会社をめざした異常発見と体質改善

 

子供が継がない場合の事業継承はどうしたらいいのか?

「後継者がいなければМ&A」に物申す

「子供は東京の会社でサラリーマンをしていて、家業を継ぐ気はまったくない」こんなケースが、会社の後継者不在の典型例でしょう。

「後継者がいないならばM&Aで会社を売ればいい」という提案がなされる場合があります。

でも、お金まで出して買ってもらえるような会社は現実には少ないものです。多くの会社では、通常のM&Aで問題を解決できません。

買い手は、スケールメリットや人に頼らない事業内容を一般的に求めます。一方、小さな会社や店舗の場合、自分の目が届く範囲で人的に仕事をしている場合が多いのです。

 

また、М&Aに必要なコストは安くても数千万単位になる場合ばかりです。

仲介会社への着手金や成功報酬に加え、会計士や弁護士などの専門家による精査の作業(デューデリジェンス)にも何百万円もかかります。

これだけの費用を使ってでも売買される会社とならば、世の中にそんなに多くないことは想像いただけるでしょう。

 

事業承継への対策として、М&Aが有効な場合は確かにあります。ただし、それはどちらかと言えば特別なこと。

「会社なんていざとなれば売ればいいや」なんて楽観的に考えていては足元をすくわれてしまいます。

事業引継ぎ支援センターは?

後継者がいないために廃業する会社がたくさんあります。改善されない事業承継問題に業を煮やし、行政主導で各都道府県に『事業引継ぎ支援センター』が置かれました。

鳴り物入りでスタートした機関ですが、実績と言えば・・・とても乏しいといってしまっても過言ではないと思います。

いろいろと機能していない理由は考えられますが、一番の原因は既存のМ&Aの仕組みに乗せようとしているだけだからでしょう。

銀行などが持つМ&Aの仕組みへの単なる窓口になっている場合がほとんどです。それでは機能しないのはすでにお話した通りです。

 

 

これまでの事業承継の常識を捨てる

もう、これまでの発想は変えたほうがいいのでしょう。

私が考える捨ててしまったほうがいいМ&Aの常識は、「そのまま会社を承継する」と「名前を隠す」の2点です。

 

会社は整えてから売る

通常のМ&Aでは、株式の売買だけが行われ、会社をそのまま承継することが普通です。

しかし、そのまま売ったのでは買ってもらえない会社のほうが現実は多いのでしょう。

赤字の事業を抱えていたり、借金が大きかったり。余計な資産がある場合もあれば、人の問題があるケースだってあります。

そんな場合では「継がせられるかたちに整える」という発想が求めれるのです。

 

例えば、資産が大きく、株式を買取る時に払えないレベルの多額のお金が必要となる会社があったとしましょう。

こんな時は、資産と事業を別の会社に分社し、事業の会社だけを売れれば安くすることができます。

または、分割払いや成果報酬などの払い方の工夫により解決できることもあるかもしれません。

従来のM&Aに、調整という発想を加えるべきでしょう。そして、それを担えるコーディネーターの存在が重要になってきます。

 

名前を出してみる

匿名でコソコソやるのもМ&Aの常識でした。実務では守秘義務契約に非常に気を遣います。

しかし、本当にそれしか方法が無いのでしょうか。私は、売り手の顔が見える形で後継ぎがを求めるスタイルがあってもいいとずっと感じていました。

顔が見えることで、買い手とのミスマッチが防げます。買い手探しや調査を軽減できるので、コストも減らせます。

そんな意図で、『あきないバトン』という取り組みを開始。顔の見える後継者募集にチャレンジするようになりました。

 

「後継者がいないことを知られたら、商売にマイナスの影響が出る」と考える方もきっといらっしゃるでしょう。

しかし、事業の継続のために努力し、堂々と後継者を探す姿は好感を持って迎えられると思います。また、周囲を巻き込んで応援してもらえるようになり、むしろ商売にプラスとなるかもしれません。

隠しているつもりでも、周囲の人は「後継者どうするんだろう?」と心配しています。だったら、思い切ってぶっちゃけてみたっていいのではないでしょうか。

 

「誰も継がないよ」とあきらめる前に

「そんなこと言ったって、うちなんて誰も継がないよ」とあきらめがちな社長さん。やってみなければわかりません。

事実、私が過去に主宰していた『リノベーション起業研究会』というコミュニティには、会社やお店の後継者になりたい人が集まってきました。

最近では、地元で働きたい、東京から地方へ移住したい、地域に根を張って生きたいというニーズが強くなっています。その実現手段として、既存の会社などの承継を提案してあげることができるのではないかと考えています。

 

そもそも事業を継がせなければいけないの?

ところで、そもそも事業を誰かに継がせなければいけないのでしょうか?

「別に面倒な思いをしてまで継いで欲しいとは思わない」とか、「ウチの事業を継いでもらうことはあきらめた」とか・・・。そんな社長の気持ちもわからないでもありません。

それでもやっぱり、継がせるメリットは大きいと思うのです。

自ら廃業するよりも誰かに継いでもらったほうが、通常、経済的な利益は増します。

また、これまで続けてきた会社やお店には、ノウハウや信用などの目に見えない価値もあります。こんな価値をこれからの若者に継がせることは、社会的に大きな意義があります。

 

そして、ご自身が心血を注いできた事業や会社は、かけがえのないものであるはずです。

かつて、倒産間際になって、かろうじて事業の一部だけを他者に継いでもらい、その後破産をした社長がいました。

このような最期をむかえたことに、経営者として相当な挫折感があったはずです。それでも、「自分が人生を費やしてきた事業が、一部であれ残してもらえることが心の底からうれしい・・・」と語っていました。

 

後継者問題は腫れ物にさわるように扱われがちです。でも、そのような姿勢が問題解決を遠ざけているように思えてなりません。もっとオープンに助け求めることで、道は開けるのではないでしょうか。

 

●「事業承継デザイナー顧問」
継がせられる会社をめざした異常発見と体質改善

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06.事業継承での生命保険活用

事業継承における生命保険の活用

生命保険も使い方次第では事業継承や相続に力を発揮します。

相続税を減らす

生命保険には非課税枠があります。

その分の生命保険を使えば、それだけ相続税が安くなるのです。

たとえば、預金500万円を持ているのと、
生命保険で受取人に500万円支払われるようにしておくのでは、
後者のほうが相続税を安くできます。

代償分割の時の資金に

遺産分割のやり方のひとつに代償分割があります。

何かを相続する代わりに、
差額分を金銭で支払うようなやり方です。

たとえば主な相続財産が自宅(6000万円)しかなく、
相続人として子供が3人いたとしましょう。

長男が自宅を相続したら、他の子たちは何ももらえません。

でも、長男が他の子たちに
2000万円ずつ支払えばバランスがとれます。

その調整用の資金を生命保険を使って作ることもできるのです。

 

相続放棄対策

相続をしたら借金や個人保証のリスクまで背負ってしまいます。

事業に無関係の相続人候補としては、
それは避けたいと思うかもしれません。

しかし、ただ相続放棄をすれば、
今度はなにももらえなくなってしまうのです。

こんなケースを想定して、
生命保険の受取人にしておくのはどうでしょうか。

生命保険は相続とは異なるので、
仮に相続を放棄していても死亡保険金を受け取ることができます。

生命保険を利用することで、
相続放棄で負のリスクを断ちつつも、
資産を手にする設計ができるのです。

当面の相続手続き用資金として

故人名義の預金などは、相続発生により凍結され、
遺産分割が終わるまで手をつけられなくなります。

数カ月は使えないと思っておいたほうがいいでしょう。

しかし相続が発生すると、
葬儀などいろいろとお金が必要になる場面があります。

生命保険ならばすぐにお金がおりるので、
当面の運転資金を助けてもらえます。

 

利益を圧縮して株価を下げる

損金参入できる保険ならば、会社の利益が減ります。

ひいては株価が下がるので、
株式の移転や相続税対策につながることもあります。

 

自己株式取得のために

相続税の納税資金が足りなくなる場合に、
会社に自社の株式を買い取らせる場合があります。

この自己株式を買い取るお金を生命保険を利用して作ることも考えられます。

その場合、先代社長を被保険者にし、受取人は会社です。

先代がお亡くなりになったときに会社に死亡保険金が入ります。

そのお金を使って後継者から会社が株式を買い取ります。

後継者は株式の売買代金を手に入れることができ、
それを納税資金にまわせるのです。

→ 社長の相続対策・遺言作成支援

 

05.外部の後継者の探し方

どうやって継業の相手を探せばいいのか?

後継者を探してみようと思ったところで、
次の疑問は
「どうやって相手を見つければいいのか?」だと思います。

しかし現状では、確立された方法はないということに
なってしまうのでしょう。
事業継承の特効薬としてМ&Aがすすめられるケースがあります。

中にはそれで廃業を免れたケースもあるのでしょう。

しかし、その取引の実態を考慮すれば、
いかに敷居の高いことかがわかります。

会社の売却を希望したところで、
実際に売れる会社はそのうちごく一部です。

М&A会社には仲介手数料として、
何百万から何千万円のお金が軽く動きます。

とても後継者不在の問題を解決する策とは言えない状況なのです。

このサイトでは小さな会社を想定しています。

ここでイメージしている外部の第三者は、
何千万も出して会社を買える人でもないのです。

通常のМ&Aはあまりに高値の花であります。

 

外部の後継者を見つける取組み案

小さな会社や、いわゆる普通の人への事業継承を
実現する仕組みが現状は存在していません。

ゆえに「こうすればいい」という解決策を提示することはできません。

それでも動いてみないことには問題は打破できません。

いくつか手を考えてみましょう。

 

行政等のマッチングシステム

行政やその関連団体、
商工会議所などが事業引き継ぎの窓口を作っている場合があります。

少しずつ機能しはじめているところもあるようです。

声をかけてみて、支援のスタイルを聞いてみてもいいかもしれません。

実績なども詳しく聞いてみましょう。

しかし、全般としてはまだまだ形式だけに
とどまっている場合が多いと思います。

従来のМ&Aの発想であったり、
相談員等の事業継承の現場への理解の浅さであったり・・・

そんなに期待できないのかもしれません。

 

インターネットで後継者を探す

探してもらうのではなく、
いっそのことご自身で直接探してみてはいかがでしょうか。

今ではインターネットの普及で、
相手を見つけられる可能性は格段に増えています。

社長が自ら声をあげれば、可能性が拓けます。

仮に社長自体のつながりが少なくて相手に届かなそうでも大丈夫。

大切な情報だと思えば、その声を他者が広げてくれます。

それがインターネットの時代です。

私も自身のFacebookやブログ等を活用して
事業の承継希望者を探したことがあります。

実際に見つけた例もあります。

大切なことは、情報をオープンに出すことです。

 

事業継承の仕組化に思うこと

事業継承は社会にとっても大切です。

しかし、問題解決にはなかなか近づけていません。

小さな会社やお店が受け継がれる仕組みがほしいところです。

ポイントは二つあり、一つは後継者がいない「継げる会社」を掘り起こすこと。

もう一つは、興味がある若者を見つけることです。

後者についてはインターネットの活用で見つけることができるでしょう。

だから前者の「継げる会社」の発掘さえできればいいのです。

しかし、これはデリケートな問題のため難しい点があるのも事実。

私の感覚では、こんな案件を発掘する人間と社長との間に
「顔の見える関係」があることが必要なんだろうと思っています。

そのため、街単位や産地ぐらいの小さな単位で
取り組んでいくのがいいのではないか、と思う次第です。

 

→ 第三者事業継承の支援について

 

会社の「継がせ方」トップ(子供、従業員、第三者へ)

子供か従業員、それとも第三者に会社を承継?

「誰に会社を継がせるか?」

お子様や従業員さんの場合が後継者となる場合があるでしょう。また、まったくの第三者に継がせるかたち(継業)もあるかもしれません。

関心のあるページのタイトルをクリックして、先にお進みください。

 

会社の「継がせ方」のトピックス

事業承継の後継者選びの概論

「誰に事業を引継ぐか?」

後継者を選ぶものさしなどについて

「子供の後継者がいない場合の事業はどうすれば?」

子供が後継者にならない場合の発想と取組み方

 

子供を後継者とする事業引継ぎ

「子供への事業承継の概論」

子供を会社の後継者にする場合の概論と問題点

「“経営権”を後継者たる子供に譲る」

後継者がリーダーシップを発揮できるように

「“株式”を子供に継承する」

株式を譲渡し会社の所有権を譲る際の方法と課題

「事業継承の“後継者育成”を考える」

後継者が社長業を担えるようにするための教育は?

「借金が大きくなり過ぎた事業引継ぎ」

借金が大きすぎる場合や赤字事業を抱えるさいの事業継承のテクニック

「事業承継税制について」

あたしくなった事業承継税制について解説

 

第三者の後継者への事業承継のトピック

「第三者への事業承継概論」

血がつながらない従業員や外部の第三者に承継する場合の概論

●「血のつながらない従業員後継者に株式を承継

血縁ではないからこそ株式を後継者に届けるための仕込みが必要

●「先代社長の個人保証を外したい

社長交代後は会社の借金のリスク当から逃れたいもの
銀行から個人保証を外させるにはどうすればいいか?

●「従業員には分社して承継する?

「従業員には株価が高くて会社が買えない」
こんな課題をクリアする方法を研究

●「継業とは?(外部の第三者へ承継)

外から後継者となるべき第三者を招へいする場合

 

事業承継のお手伝いついて

事業承継のご相談はお気軽にお声がけください。

「誰に相談してもしっくりこなかった」という方も、あきらめずにもう一度アクションを起こしてください。

問合せは、こちらのフォームから可能です。

 

●「事業承継デザイナー顧問」

継がせられる会社をめざした異常発見と体質改善

事業“承継”計画づくり支援

本格的に次世代への承継に動き出したい方へ

第三者後継者への事業承継支援

後継者が第三者の場合のご支援について

 

継業とは?(外部の第三者への承継)

『継業』の概要

バトンタッチのタイミングをむかえているのに、
会社やお店を継ぐ後継者がいない会社が増えています。

「ウチを継ぐ人なんていない」と
あきらめてしまっているケースも見受けられます。

一方で、赤の他人であった第三者を会社に招き、
承継させた事例もポツポツと増えているように感じます。

最近ではこのような事業承継のかたちを
『継業』と呼んだりするようです。

 

М&Aも第三者へ継がせるという意味では同じですが、
ビジネスライクな印象です。

また、自社よりも大きな会社に買われる場合が多いでしょう。

一方の、継業は人的なつながりを重視し、
投資行為ではなく、なりわいを受け継ぐようなイメージです。

承継する相手は個人で、
お金もそんなに動かない場合がほとんどだと思われます。

 

豆腐屋を継いだ継業の事例

私の支援した継業事例を紹介します。

ある商店街では、豆腐屋の店主が
「後継者もいないし、もう廃業する」
と言ってまわっていたそうです。

それを聞きつけた女性グループが、
店主に掛け合って「店を継いだい」と直談判しました。

もともと障がいのある人も一緒に働ける場を作ろうと
取り組んでいましたが、
思うように売り上げが作れずにいました。

そこで豆腐屋の話を耳にし
事業を新しい収益源にできるかもしれないと
考えたのです。
承継の申し出に対して最初は聞く耳を持たなかった豆腐屋の店主も、
その女性たちの本気に心を打たれて承諾しました。

ここから修行が始まりました。

3名で豆腐の製造と配達と事務を手分けし、
約2年の引きつぎ期間をもうけて仕事を習いました。

今では代替わりまで完了させ、
自分たちだけで製造から販売までを行っています。

新商品の開発やパッケージのデザインなどに取り組み
独自のファンも開拓しています。

 

後継者は一人でなくてもいい

この事例はなにも一人に継がせるばかりが
手ではないことを教えてくれます。

技術的なことの承継は本当に難しいですが、
役割を分担することで実現可能性が見えてくる場合があります。

「仲間と一緒に」というのは
今の若者と相性がいいスタンスでもあります。

 

他人だからかえっていい?

「赤の他人だと引き継がせることが難しい」と、
思われる方もいるかもしれません。

でも私は、かえってそちらのほうが上手くいくようにも感じます。

後継者が子供の場合、先代と関係が近すぎて
感情的な衝突などが起きやすいところ、
赤の他人ならばお互い尊重し合いやすいようです。

もちろん承継を進めていく途中で、
お互いが衝突したり、
ズレが生じたりすることはあります。

そんなときのために間に入って
調整してくれる人を用意しておければいいですね。

 

継業に意欲をもつ社長へ

後継者がいないから廃業すると言っている社長の潜在意識には、
「面倒なことはしたくない」という思いもあると思います。

廃業すればそれで終わりにできますが、
他人が入ってきてややこしいことになると困りますよね。

それでも若者に承継させてあげることを
考えてみていただきたいのです。

継業をした先代は、
自分のやってきたことが残せてよかったと喜んでいます。。

また、後継者から「継ぎたい」と評価され、
一緒になって承継に挑むことで
若々しい気持ちを取り戻すケースもよく見ます。

 

「ウチじゃ継いでも食えない」と判断する前に・・・

業界の先行きの厳しさや景気から、
うちの会社や店を継いでも食べていけないと、
継業を断念してしまう方がいます。

でもやってみなければ分からないし、
仮に成功できなくても
それは先代社長の責任ではありません。

先代の役目は機会を提供することで、
それを活かすかどうかは後継者次第なのです。

この機会を提供してあげるということが、
相手にとっても、社会にとっても、
ものすごく重要だと思います。

若者は柔軟な発想で思いもよらぬやり方で
会社を盛り上げてくれるかもしれません。

 

【参考サービス】

第三者後継者への事業承継支援

「事業承継デザイナー顧問」
継がせられる会社をめざした異常発見と体質改善

事業“承継”計画づくり支援
本格的に次世代への承継に動き出したい方へ

次世代後継者支援について

 

02.先代社長の個人保証を外したい

先代社長の個人保証の問題

次の難敵は個人保証の問題です。

先代が社長の座と株式を後継者に譲っても個人保証が残る限り、
リスクと切り離してもらえません。

会社に対する権限は手放したのに、
責任だけが取り残された状況です。

もしそのまま業績が悪化してしまったら・・・
先代社長にまで銀行から追及が及びます。

 

なかなか切り離せない個人保証・・・

やっかいな個人保証ですが、今のところこの問題を
一発で解決してくれる技がありません。

法的な視点から見ると、
銀行には個人保証を解除する義務はありません。

「経営者保証に関するガイドライン」が作れられましたが、
法的な強制力は持ちません。

債権回収の実現という彼らの都合を考えれば、
わざわざそれを弱める必要はないのです。

後継者に社長が代わったからといって、
その者の経営手腕は未知数です。

またいざという時の財力もなければ、
担保として差し出せる資産も持っていないのが普通です。

ならば先代社長に足かせを付けておきたい
というのが本音でしょう。

 

個人保証に抗う

ちまたに出回っている本では
「そうならないように借金は返してしまいましょう」
と書かれているものもありますが、
それができれば苦労しません。

そんな余裕のある会社はそうそうないのです。

問題の解決は簡単ではありません。

だからといってはなから諦めてはいけません。

打てる手を考えてみましょう。

 

①とにかく粘り強く交渉

銀行に個人保証を外してくれと
交渉を持ち掛けていけないわけではありません。

自由を勝ち取るために粘り強く交渉し続けましょう。
世の中の流れとしては追い風が吹いています。

「第三者への連帯保証はできるだけ控えるように」と
ガイドラインによるお上からの指導があります。

また、従来のように融資を担保力ではなく、
稼ぎ出せる利益をものさしに検討する時代にもなっています。

 

ガイドラインでは
「信用力がある場合、金融機関は個人保証を外すべき」
という指導をしています。

そしてどのような場合に信用力があるのかについては、
次のような点をあげています。

①法人と経営者個人の資産・経理が明確に分離されている

②法人が支払う経営者への役員報酬や賞与等がが、
社会通念上適切な範囲を超えない

③法人のみの資産・収益力で借入返済が可能と判断しえる

④法人から適時適切に財務情報等が提供されている

当たり前と言えば当たり前の内容ですが、
銀行との交渉にあたるには、
このあたりのポイントを押さえておく必要があるのでしょう。

 

②借り換え

他の銀行から融資をしてもらい、
個人保証を外してくれない銀行の借入を返済してしまうのも手です。

もちろん、会社に対して銀行が
「ここならば融資をしてもいい」
と思ってくれるぐらいの力があることが条件にはなります。

近年では融資を貸し出せる会社が減っているので、
銀行としてもいいチャンスと考えてくれるかもしれません。

 

③資産を持たない

会社が傾いたときに、
先代社長が資産をもっているから
返済を肩代わりしなければいけません。

逆に資産を持っていなければ、
銀行としてはあきらめざるを得ないのです。

払えるものはないと開き直れますから。

そこで、あらかじめ資産を持たないようにしておく
という戦略も考えられます。

たとえば自宅などを買い取ってもらって
他人の名義にしておくなどが代表例でしょう。

 

→ 第三者事業継承の支援について