事業承継も廃業、再生も状況整理が最初の肝【都内・鎌倉】

昨夜から関東出張に来ています。

今日はご相談が2件。

都内と鎌倉でした。

 

一件目は、会社を廃業するか、否か。

続けるにしても、どうしたらいいか、という内容です。

苦しい現状で、このままと同じことを続けていてもジリ貧になるだけですからね。

とても重たい決断になります。

また、こういう時は、いろんなことが頭の中で引っかかります。

家族のこと、従業員のこと、借金、お客さん・・・など。

それらの優先順位をつけたり、ものさしを提示したりして、決断できるかたちに整理するのが僕の役目です。

ときに参考として自分の考えをお伝えすることもありますが、押し付けることはありません。

どの道を選ぶにしても、納得して進んでもらいたいところです。

そのためには「自分で選んだ」と思っていただかなければいけません。

 

二件目のご相談は、社長だったお父様がお亡くなりなった後の会社のことです。

不動産賃貸業をしていましたが、相続人でもあった株主が4名。

このままのかたちを続けていくのも難しいと感じるようになったところで、お声がかかりました。

それぞれのお気持ちを聞いたり、不動産の状況を調査しながら、関係を整理するための提案をすることになりそうです。

 

こんな日でした。

あらためて振り返ると、僕の仕事の一番大切なところは状況の整理なんだなぁと思えてきます。

ただし、整理するだけでなく、最後には具体的な次のアクションにつなげてコンサルティングを終えるようにしています。

実践してもらえなければ意味がありません。

アクションを絞り込み、「後はやるだけ」にまで落し込むようにしています。

 

 

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神戸案件の事業譲渡の契約書づくり

神戸の事業承継案件の出口が見えてきました。

後継者となるのはスタッフの方。

社長の家族や親類ではありません。

 

数カ月、社長と後継者の間に入って調整を試みてきました。

要望を聞いては相手に伝えて修正する。

この繰り返しです。

簡単そうに聞こえるかもしれませんが、感情や法律や損得勘定が入ってくるので話をまとめるのは実に難しい作業なのです。

単に伝えるだけでなく、ときに僕の意見も伝えて修正しなければ、落としどころには近づけません。

 

この案件では、ようやく終わりが見えてきています。

正式な事業譲渡の契約書のかたちに落し込んでみました。

 

司法書士時代にもビジネス関係の契約書は何度も作成したことがあります。

しかし今思うと、なんで契約書を作れていたのか不思議になります。

皆さんも法律の専門家に契約書の作成を依頼したことがあるかもしれません。

また、その手の依頼は法律家にするものだと思っていらっしゃる方が多いでしょう。

でも、本質的なところはなにも分かっていなかったような気がしてしまいます。

もちろん法律的なところは分かっているのです。

 

ただ契約書の中の肝は、やはりビジネス的な部分になるのです。

契約書にはそのビジネス的な面が守られなかったときのペナルティーなどが書かれます。

でもその重要度は、契約書内でそんなに高くはありません。

そんなことよりも、ビジネスに直結する部分の方がはるかに重要です。

事業譲渡の契約ならば、いくらで売買するのか、とか、事業の中に何が含まれているのか、といった部分です。

司法書士をやっていたときは、こんなビジネスの側面にはあまり気を留めていなかったのが正直な話です。

「その部分はお客さんのほうで話を煮詰めてきてください」ぐらいの感覚です。

もちろん法律家だからそんなところまでは自分の仕事じゃない、という考え方をする人もいらっしゃるのでしょう。

間違いではないと思います。

ただ、今となっては、それでお金をいただいていたことになんとなく申し訳ない気がしてしまうのです。

 

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事業継承の全体をコーディネートできる専門家

 

本日は大阪の事業継承案件で多くの時間を割きました。

核となる従業員のお一人が新設会社を作り、そこに事業譲渡で今の事業を移していくことを方針とする案件です。

 

「事業継承が専門です」と名乗っている人は多いですが、僕のようなスタンスで関わっている人間を、他に知りません。

僕なりのやり方が、ようやくかたちになってきましたと感じるところです。

中小企業と関わりながら、先方の状況に合わせて踏み込んで仕事をしてきた結果でしょう。

 

例えば、今日一日の仕事はこのようなものでした。

・引き継ぎの条件や段取りを検討

・債権者への説明の資料を作成

・政策金融公庫の方から事業承継の融資に関するを質問

・後継者になる方とこれからの経営計画を一緒に検討

・先代社長に現状の報告と今後の進め方を説明

この後は、事業譲渡の計画書や株主総会の議事録を作成します。

 

会計も経営戦略も資金調達も法律も、そして、話し合いの調整役にまで僕が担当しているのです。

会計や法律や経営計画づくり・・・など、これらの分野はそれぞれ専門家と呼ばれる人がいます。

しかし彼らは事業承継の専門家ではなく、事業承継に関する一部の分野の専門家なのです。

なので事業承継の案件をそのまま丸ごと委ねると足りない部分が生じます。

また中小企業の資金力などを考えれば、個別に何人もの専門家を雇い、深くコミットさせるのも難しいところです。

そんな状況に対し、僕は全体をコーディネートできるようになり、中小企業特有の事情をケアできるようにしてきました。

事業継承のバトンタッチの部分から、継いだ後の事業づくりまで支援する珍しい人間でしょう。

各分野には僕よりももっとすごい人がいるでしょう。

分野別で見てみたら、僕が他より優れているのは、事業承継の場面に分社手法を組み合わせるところぐらいだと思います。

それでも、事業承継の専門家としての総合力で勝負したら、悪くないと思うのです。

そして僕が会社に踏み込んで他分野も含めて全体をコーディネートすることは、中小企業の実情にも合っているはずです。

 

 

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負債が膨れた会社を後継者に事業承継していいの?

 

事業承継のタイミングを迎えている会社の状況は千差万別。

潤沢な資産があるとこもあれば、反対に銀行借入などをはじめとした負債が大きく膨れている場合もあります。

中小零細企業をめぐる景気を考えれば、後者の方の悩みの方が多いのかもしれません。

事業承継というと相続税だ株価だという話になりがちですが、それは一部の潤った会社の話なのです。

 

負債が膨れた会社を承継させる愚

さて、この負債が大きくなった会社の事業承継はどうしたらいいでしょうか。

この部分が気がかりで、子供や社員に継げないでいる会社があるかもしれません。

もちろん、無理に継がせるよりは立ち止まっていただいているほうがずっといいでしょう。

負債が膨れた会社を状況を考えないでうかつに継いだケース。。。

社長の急死のドタバタである人が新しい社長として担がれてしまったケース。。。

社長であった親の言いなりで、強制的に子供が継がされたケース。。。

いろんなケースがありました。

当然、継いでから後継者は苦労します。

継ぐや否や経営破たんしたようなケースすらありました。

「先代の作った借金を若き後継者が苦労しつつ返済した」なんて事業承継の美談がもてはやされます。

日本人はこんな話が大好きです。

しかし、そんな結果が上手くいったのは、ほんの一握りのケースではないでしょうか。

僕に言わせれば、そもそもそんな会社の継ぎ方をしてはダメなのです。

 

 

一部でもキラリと光る部分があるなら

ならば負債が膨れ上がった会社はどうすればいいのか。

まず考えるべきは「そもそも誰かが継いでまでのこす価値があるのか」ということろでしょう。

辛辣な言い方をすれば、世の中にはもう継ぐ価値がない会社だってあるのです。

時代や環境の変化に取り残されていたり・・・と。

そんな会社までリスクを負って引き継ぐことに意味はありません。

会社をたたみ、後片付けをしたほうがいいでしょう。

 

この継ぐ価値がないと判断する際のものさしについては、言っておきたいことがあります。

会社全体としての良し悪しを考慮するのではありません。

一部分でもよい部分があればいいのです。

たとえ負債が大きくなりすぎてもきらりと光る部分があれば、残す価値があるし、残せる可能性もあると思います。

販路、技術、個客、商品、ブランド、不動産、資産・・・など。

会社にある資源を棚卸しながら、ピンとくるものに気づけるようアンテナを張っておいてください。

残し方は後ほどお話しましょう。

 

 

分社で負債が膨れた会社を残す

会社では負債が積みあがっている。

しかし、なくすには惜しい部分もある。

この前提で、事業承継をどうしていけばいいのかを考えてみましょう。

 

 

まず、債権者との折衝を経て、借金をカットしてもらうという方法が思い浮かびます。

しかし、先方はこちらの都合に合わせてくれません。

債権者主導の再生というのは難しいというのが僕の実感です。

 

民事再生法などを使って借金をカットするという方法もあります。

これならば債務者側がある程度イニシアチブを握れます。

しかし、手続きにはコストがかかるし、信用不安も引き起こしやすい手法です。

 

結局小さな会社の場合に向いているのは、いわゆる『第二会社方式』というものです。

簡単に言えば、会社を良い部分と悪い部分の二つに分け、良い方の会社だけでも生き残らせましょうという手法です。

膨れ上がった負債は、悪い方の会社に残しておくことになるでしょう。

事業承継の場面ならば、後継者が良い方の会社だけを承継すればいいのです。

負債が積みあがったまま継がせるよりも、ずっと成功率は高くなるはずです。

「そんな都合の良い話があるのか」と訝しむ方もいらっしゃるかもしれませんが、できるのです。

実際に何件もやってきています。

 

後継者として良い方の会社を継ぐことになる方への注意喚起があります。

負債から逃れただけでは、いずれ会社はまたダメになる、ということです。

それはそうですよね。

社内の体質が悪かったり、稼げない商品やサービスを販売していたり・・・悪くなった原因をそのままにしていては、いずれまた財務内容は悪化していきます。

あくまで第二会社方式は浮上のチャンスでしかありません。

そのチャンスを使って、いかに世の中から必要とされる事業を築けるかが勝負です。

私は『今ある会社をリノベーションして起業する』を書いて伝えたかったのは、そのことと、そのやり方です。

 

 

残った会社と負債はどうする?

第二会社方式の意味はお分かりいただけたでしょうか。

鋭い方は「ならば、残った悪い方の会社と負債はどうするのか」と疑問に思われたかもしれません。

会社のほうは、清算や破産で終わらせてしまってもいいですし、条件がそろえば営業を続けていくこともできなくはありません。

ただやはり負債の支払いができなくなる場合が多いのでしょう。

 

すると、主債務者である会社が支払えないのだから、社長が連帯保証をしている部分については個人に請求がなされます。

この際に取られるような財産が無ければ、もう開き直ってもいいわけです。

「払えるもんなんてなにもないぞ」と。

あとは好みの問題でしょうか。

破産などできっちり法的に処理をしてしまうのが一つ目の選択肢です。

債権者との関係を終わらせたい方はこちらがいいでしょう。

 

ほうひとつの選択肢は、月々の分割弁済に持ち込むことです。

この際、債権者主導で話をするのでありません。

あくまで払えるお金はない。

ひいては、債権者が強制的に奪えるお金はないという前提からスタートです。

そのうえで、月々無理なく支払える額だけを合意のうえで払うのです。

5000万円の借金が残っていても、月々1万円しか払っていない方もいます。

年齢を考えるとこのペースでは払いきれないのですが、そもそも完済できるとも思っていません。

将来のいつか社長がお亡くなりになったときに、一緒に負債もお墓にもっていってもらう算段です。

 

———————————

負債が膨れた会社の事業承継のお話をしてきました。

知恵と工夫と勇気によって、いい形で後継者にバトンをつなぐことができます。

一方、下手なやり方をすると痛いしっぺ返しを受けることもあります。

実行する場合は専門家と相談しながらやってください。

 

社長が急死してしまったときに注意しなければいけないこと

 

これまで何度か社長が急逝してしまった会社の支援をしてきました。

また、社長がお亡くなりになった後の対応を誤ったため、苦しい思いをすることになった例も見てきました。

その経験から、中小零細企業の社長が急に亡くなったときに、気に留めておいていただきたいことをまとめてみます。

 

お金の支払いを止めない

小さな会社となればなるほど、社長の役割が大きくなります。

役割分担がなされておらず、社長が一人欠けただけで業務が麻痺してしまうケースだってあります。

社長の急死の際、まず一番大切なことは、社長不在のあおりをうけて事業まで殺さないことです。

 

ある近畿の会社では、社長が経理のすべてを行っていました。

他の社員は数字も知らなければ、ネットバンキングのパスワードも知らされていません。

社長が急逝したときには、仕入れ先への支払いすらできない状況に陥ってしまったのです。

本来ならば生前のうちに何らかの対策を施しておくべきことですが・・・

とにかく支払いを待ってもらうお願いをしたり、お金をかき集めたりしながら急場をしのぎました。

 

なお、こんなときは事業を回すのに不可欠な相手から優先してお金を払うべきです。

その方針からすると、①仕入先、②従業員給与、③家賃、④銀行、⑤税金・社保
といった優先順位になるのでしょう。

まずは、会社の血液たるお金の流れを止めてしまうことで、会社が死んでしまうのを防がなければなりません。

 

事業の権利を確保する

また別の会社では、社長が亡くなったことで、会社の株式が妻や子供たちの相続人に承継されました。

妻子は亡社長の会社経営にはタッチしていません。

そして、相続が起きるとすぐに株主の権利を行使して、会社を解散させてしまいました。

幹部だった人から後から聞いた話では、会社の解散は寝耳に水だったそうです。

事業にはしっかりとした収益基盤があり、今後も利益を出せる見込みもあったとのことです。

もったいないことです。

 

株式を持っていれば会社の意思決定ができます。

他人が株式を持てば、こんな結末になってしまうことだってありえるです。

事業を生かしたいと思う社員の方などがいらっしゃるのならば、すぐに動いて事業の継ぎ手として名乗り出なければなりません。

また、従業員の中には継ぎ手になる人がいなくても、他社に引き継いでもらうことだって考えられます。

事業を生き残らせるためならば、第三者だって上手に使ってしかるべきでしょう。

 

後継者は個人保証の承継を留保せよ

社長が急死した会社に後継者がいるとします。

普通の流れでは、亡社長に代わって代表者に就任し、登記をすることになります。

 

本音を言えば社長への就任も一歩立ち止まってもらいたいところです。

しかし、社長が不在となると様々なことが滞ってしまうので、早急に登記までするのは仕方がないかもしれません。

ただ、個人保証については、銀行に言われるがまま承諾してはいけません。

 

社長が代わればすぐに銀行がやってきて、個人保証の引き継ぎに関する書類に押印を求めてくるでしょう。

これを押してしまえば、会社の借金を個人としても背負うことになってしまいます。

本当に大丈夫なのでしょうか。

 

会社の財務内容をよくわかっていない後継者が、前社長の死亡をきかっけに、個人保証をしてしまった案件もありました。

すでにその時点で会社の業績や財務内容はかなり痛んでいたため、後継者が社長に就任した数カ月後には破たんしました。

後継者は個人でも責任を負わなくてはいけない状況になっていたため、破産をし、自宅を失うことになりました。

 

個人保証をする前に、会社の状況を見極めるべきです。

そして、そのまま会社の連帯保証人になるのが得策ではないと思うならば、何らかの策を講じなければいけません。

どんなやりかたがあるのかは長くなるので省略しますが、大切なことは、場の空気に流されて個人保証までしないこと。

銀行のプレッシャーに負けてしまわないこと、です。

立ち止まる勇気をもってください。

 

社長の相続は慎重にすべし

最後は、配偶者やお子さんなどの相続権をもつ方へのアドバイスです。

本当に相続しても大丈夫なのか、を確認をしてください。

「家族が亡くなったから相続するのは当たり前」ぐらいの感覚の方が多くて、見ていてひやひやしてしまうことがあります。

 

一度相続すれば、その死者のすべてを相続します。

資産ばかりだったらいいのですが、負債や損害賠償などのマイナスだって引き継ぐことになるのです。

美味しいとこどりはできません。

まず相続することになる内容を吟味したほうがいいのは間違いありません。

 

相続することになるマイナスは、借金だけではありません。

連帯保証もその対象です。

小さな会社の社長ならば、会社の借金を個人保証しているのはあたりまえです。

注意しておきたいところです。

たとえば、亡くなった社長の相続財産の中身を検討したら、資産の方が多いかもしれません。

ここだけを見れば相続しても安全そうです。

しかし、裏には個人保証があったりするのです。

もし会社が破たんすれば、払うことができなくなった借金は、連帯保証人に請求されます。

亡き社長がしていた個人保証は、相続人であるあなたにまわってくるかもしれないのです。

私のクライアントでも、印刷会社を経営していた父を相続してしまったため、数年後、妻と娘たちが破産する羽目になったケースがあります。

娘たちは会社の経営には全く関与していなかったのに、個人保証の責任を取らされてしまったのです。

うかつに相続することに危機感をもっていただきたいところです。

 

場合によっては相続放棄をしたほうがベターなケースだってあるはずです。

なお相続放棄については3点注意していただきたいことがあります。

 

まず、相続を放棄したければ、家庭裁判所の手続きが必要だということです。

自分で放棄したつもりでも、それだけでは足りません。

 

2点目は、相続放棄ができる期限が定められているということです。

自分が相続人だと知ってから3カ月以内となっています。

 

そして最後は、相続人のようにふるまうと本当に相続人になってしまうという点です。

たとえば、遺産分割協議に参加して協議書に押印する行為は、相続人だからできることです。

当人がそのような行動をとるのは「自分が相続人だと認めたから」ということにされてしまいます。

後になって「やっぱり相続放棄をしたい」となっても、もう手遅れになってしまいます。

事業承継を成功させる三種の神器

 

自由に考えていいとなるとかえってこまってしまうものですね。

そこでフレームワークが役立ちます。

固定化されて発想が貧困になってしまう懸念も
ないわけではありませんが・・・

効率的に、かつ、検討内容の漏れを防ぐためには有効なのでしょう。

日本人が好んできた三種の神器というものも、
ある意味のフレームワークだったりするのかもしれません。

僕の専門である事業承継について、
成功のための三種の神器を考えてみました。

 

 

事業承継の三種の神器は『社印』『決算書』『遺言』

『社印』『決算書』『遺言』。

この3点を事業承継の三種の神器だと考えます。

以後、一つずつ解説してみますね。

 

 

経営の裁量を手渡す『社印』

まず、社印です。

社長が持つ会社の実印です。

社印を持つということは決裁権を持つことです。

それを後継者に承継させなければいけません。

形式的な部分のみならず、
実質的なリーダーシップも
後継者に移行させなければいけません。

とはいえ、形式を作ることで、
中身まで実現されていくのもよくある話ですが・・・

後継者に社長の座を譲りつつ
先代がいつまでも現場に口を出したり、
後継者がやろうとしていることに
干渉し過ぎることを戒める意味もあります。

ソフトの意味での経営権を先代が手放さなければ、
いずれにしてもうまくいきません。

後継者に任せて失敗することはあります。

しかし、中途半端にやらせては、
成功するものも成功できなくなってしまうでしょう。

 

決算書で数字で会社を把握

次の神器は決算書です。

経営をするからには、
数字面から会社のことを把握できていなければいけません。

後継者も当然です。

「決算書が読めない」とか、
「数字のことは知らない」
なんてことでは話になりません。

そもそも自分の身を守るためでもあるのです。

かつて受けた相談では、
会社を継ぐや否や経営破たんさせた後継者がいました。

決算書を見せてもらってすぐに分かりました。

いつ倒産してもおかしくない数字だったのです。

しかし、決算書を見ていない後継者は、
先代の死亡をきっかけに会社を継ぎ
社長に就任してしまいました。

後継者の経営能力云々の問題以前の話です。

誰が継いでも倒産するしかない会社だったでしょう。

なお、こんな場合でも手はあります。

ご興味あれば、僕の運営する
『会社分割ドットコム』の該当記事をお読みいただければ。

 

実質の数字を見ること

会社を数字的に理解しましょうという注意喚起のシンボルが決算書です。

この点、本物の決算書は現実の数字を表していない場合もあるので
注意してください。

決算書に載っている数字(いわゆる簿価)と
現実価格(時価)が乖離しているときがあります。

こんな場合は、現実の数字に置き換えて把握しなければいけません。

またときに、銀行に良く見せようとして数字をいじっているため、
社長ですら本当の数字が分からなくなっているような場合も
あったりします。

決算書はウソをつくことがあります。

 

 

遺言で株式の承継ルートを!

最後は、遺言です。

遺言は、株式の経路を作っておくことの
注意喚起をするものです。

万が一のことがあったときに、
会社の形式的な経営権がしかるべき者の手元に
渡るようにしておいてください。

そのために遺言が役立つでしょう。

生前贈与なども活用した方がいい場合もあります。

 

社長の死亡したとき、
後継者に株式がわたらず
会社がつぶれそうになったケースがありました。

後継者が親族でない場合などでは、
遺言は絶対書いておいていただきたいものです。

書いておいた方がいいというレベルではなく、
必要なものと認識してください。

 

また、子供などの親族が後継者の場合でも、
遺産分割や税金のことを考えると
遺言は必須と思えてきます。

遺言などを活用して株式を後継者に届ける経路を
先代社長の手で作っておくメリットは
本当に大きなものがあります。

後継者を助けることになるでしょう。

 

 

まとめ

事業承継の三種の神器はどうだったでしょうか。

三種の神器が意味するところを理解し、
自社の事業承継の取り組みを点検してみてください。

もちろん、抜け目があれば対応していただきたいところです。

この記事がお役立てばうれしいかぎりです。

 

廃業か、継続か?

 

「廃業を考えている」とお声がけいただき、
関西のとある会社さんへ行ってきました。

ここ数年売上が下がってしまっていて、
いよいよ潮時かと考えはじめたそうです。

その会社の場合は、怠けていたのではなく、
すごく営業努力をされていました。

事業の背景にある社会的な構造が、
変わってしまっているということでしょう。

 

廃業をすると決断したならば、後は粛々と事務をこなすだけです。

僕としてはかなり結果が見通せるお仕事になるでしょう。

でも、やっぱり寂しいし、
関わった以上できる限り会社を残したいのが本音です。

また、そこでも力を発揮できてこそ、
単なる法的事務をするだけの専門家と一線を画するはず。

できるかぎりお力になりたいところです。

 

廃業か、継続か、どちらにも傾きそうなタイミング。

こんなとき僕はひたすら、
事業やサービスのアイデアを出そうとします。

それを受けて、あとはどう考えるかはご本人たち次第です。

 

今回は、早めのタイミングで声をかけていただけたのが
幸いでした。

まだ選択肢があるうちに、お話をさせてもらいたいですね。

 

廃業後に残る借金は破産か?分割払いか?

 

廃業の実務では「残債をどうするか」という論点があります。

廃業したときに借金が残ってしまうケースで、
①「破産などで法律的に処理を終わらせるか」
または、
②「払える範囲で分割払いをさせてもらったほうがいいか」
という争点です。

 

前提の整理

廃業をしたら、資産を換価してお金に変えます。

そのお金を使って負債の支払いに充てます。

全ての負債を支払えればいいのですが、
それがかなわない場合もあるのです。

 

負債が残るとします。

もし銀行等が担保をとっていれば、
それを競売にかけるなどするでしょう。

また、他に資産があることを見つければ、
それを換価して返済に回すことを要求するでしょう。

ということは、
「残った借金を破産させるか、分割で支払うか」という論点は、
債権者からすると
もうこれ以上強制的に支払わせる手段がなくなった後の話
ということになります。

廃業する債務者側から表現すれば、
取り立てに来たって
「取られるような財産はもうない状況」でもあるのです。

 

残債を破産で処理すると?

前提を整理したところで、論点を考えてみましょう。

まず、もう返済ができるような財産が残っていない以上、
債権者が何を言おうがどうしようもありません。

選択肢は債務者側にあります。

そして、選択のひとつとして
破産などの法的手続きをすることで整理する道があります。

債務者に認められた権利であり、
手続きを粛々とすれば借金の問題を片づけることができます。

もちろん、弁護士等の費用や裁判所へ納めるお金は必要になります。

破産という言葉のイメージを嫌う人も多いところですが、
実際のデメリットはそんなにありません。

裁判所の手続きさえ終われば、
その後債権者と付き合わないで済むようになる
気分の軽さは大きなメリットです。

分割払いならば?

一方で、法的に処理をするのではなく、
「払える範囲で払っていく」
というスタンスをとる場合もあります。

のらりくらりとお付き合いするような感じです。

 

たとえば、家計を計算して、月3万円の余力があるとなれば、
その分を分割して払うのです。

たとえ、借金が1億残っていようが、
月3万円しか払えないならば、
その額の返済をします。

計算上、一生払いきれないことになっても、
それはそれなのです。

むしろ、払えない約束をしたところで
分割払いを続けることはできません。

するべきでもありません。

 

「そんな金額じゃ債権者が納得しないじゃないか」
と思われるかもしれません。

しかし、財産がない以上払えないものは払えません。

そして、債権者が納得しなければ、
差し押さえでも競売でもしてもらえばいいだけです。

ただし、そんなことをしても無意味です。

財産がないのだから、債権者は回収を増やせません。

債務者に主導権があるという意味が
分かっていただけるでしょうか。

 

結局破産か?分割か?

結局のところどちらがいいのでしょうか。

それはケースバイケースだし、
個人の考え方によるでしょう。

たとえば「払えないものは払えない」と
突っ張れることにためらいを感じる方は、
法的処理の方が向いているでしょう。

また、事業主がまだお若い方だったら、
身の回りのことを整理して、
心機一転やり直すほうがオススメかもしれません。

一方、年配の社長さんでしたら、
のらりくらり債権者とお付き合いしていってもいいのかな、
とも考えます。

本当に、最後は好みの問題といったところでしょう。

当初は分割払いを選択しつつも、
やってみて合わないようなら破産に切り換えることだって
できると思いますしね。

 

相続、事業承継の場面では直接交渉をさせない

 

かつて僕は『相続手続』をサービス化させました。

その後の相続ブームの先駆けだったでしょう。

多い頃は年間200件近くの
相続や遺言の相談を受けていたはずです。

 

かなりの数をこなしながらも、
お客さんが弁護士を雇わざる得なかったり、
裁判所に話が持ち込まれた案件は
たった1件しかありませんでした。

それもやむを得ない事情があったためです。

統計的には全相続案件のうち
10%近くが調停等になるようです。

この数字と比較すると驚異的な円満解決率であったと感じます。

なんで、そんな成果をあげられたのか。

 

要因は一つではないでしょう。

いろいろ企業努力を繰り返してきました。

その中で思いつくことの一つが、
相続人同士で直接話をさせないようにしていた工夫です。

 

ただでさえ人が亡くなって、
感情的になりやすい状況です。

しかも普段はしないお金の話をします。

遺産分割の話をしはじめると、
それとは関係ない過去の恨みごとなどが
テーブルにあげられがちです。

ちょっとした一言で火がついて
消化不能なほどに燃え上ったりしてしまうのです。

そうなってしまえば
あとは各自が弁護士を雇って
ガチンコでやりあうしかありません。

僕らは、そうならないように
直接遺産分割の意見や感想を相手に言うことを
止めてもらいました。

この効果は相当あったはずです。

 

今は事業承継を中心とする
コーディネーターをやっていますが、
その時の経験は活きています。

やはり先代と後継者の間では
直接交渉を避けてもらっています。

僕が間に入ることで、言いたいことや、
押さえていた本音を言うこともできるようになります。

 

ただ、これはあくまで原則です。

先日の件では、
先代社長が決まった方針を
何度もひっくり返すということが起きました。

頭では事業承継を理解しつつも、
心がついて行かないのだろうを推測しました。

そこで、思い切って両者が直接話す場を作り、
忌憚なく話をしてもらおうと思ったのです。

 

悪い方向に進んでしまうリスクもありました。

でも、フタを開けてみたら結果は良いものに。

先代社長もすっきりしたようで、
今後の調整はスムーズに行けそうな予感です。

 

 

相続も事業承継も
感情的に衝突しやすい場面です。

できるだけそれを避けられるようにしなければなりません。

コーディネーターの役割が重要になってきますね。