廃業の支援事例

廃業しても借金が残る場合は?~廃業の決断&事業と借金の整理~

『問題の所在』
■ 身体的な問題でこれ以上事業を続けられない
■ 事業を止めると借金が残る
■ 廃業した後の従業員や事業のことをどうするか?

「廃業したいから手伝って欲しい」
こんな相談を持ちかけてきたのは、
アパレルの小売業を営んでいたオーナーです。
病気と年齢のために視力が弱まり、
「もうこれ以上仕事を続けることはできない」と廃業を判断したそうです。

廃業の手続では、資産を換価して負債を支払います。
ところが、決算書を見ながらそのシミュレーションをしてみると、
結構な額の銀行からの借金が残ってしまいそうです。

残った借金については個人保証をしているので、
オーナーの個人資産でまかなう義務があるのですが、
とても残る借金を返済するほどの個人資産もないとのこと。
そんな話をオーナーとしましたが、
「これ以上仕事ができないのだから廃業は仕方ない」との結論になりました。

方向が決まったところで、廃業の手続を進めていくことになりました。

最初に「店をそのまま引き受けてくれそうな人(会社)はいませんか?」と、私たちは質問しました。
廃業の場合、通常は最初に営業を停止し、
それから個別の資産の換価を行うのが一般的でしょう。
しかし、私たちは資産を個別に扱うのではなく、お店(=事業)としてまとめて換価できないか、と考えたのです。
そうすることで、資産の売却をする手間が省けるし、店舗を元のすがたにもどす回復費用がかかりません。
事業を引き継いだ方が雇用を維持してくれる可能性も生まれるし、結果的に個別に資産を売却したときよりも高く換金できるかもしれません。

幸いオーナーには思い当たる相手がいるということでした。
その相手に話を持ちかけたところ「是非やりたい」ということです。
売却金額も見積もりました。

次に、オーナーは銀行に対して廃業の決断を報告し、
さらに、事業譲渡の打診をしました。
個別に資産を換価して廃業した場合のシミュレーションと、
事業譲渡の契約内容を銀行に提出し、事業譲渡は銀行にとって損はないこと(むしろ得でした)を伝え、取引の可否を問うたのです。
銀行サイドは、快くOKを出してくれました。

なお、廃業することを銀行に伝えるときに反発を恐れる方がいらっしゃるかもしれませんが、 現実はあっさりとしたものになる場合が普通だと思います。

銀行からの了解をもらってから、事業譲渡により資産を処分し、
その金額を借金の返済に充てました。
それでも従前の予想通り大きな借金が残り、
債権は銀行から保証協会に移されます。

残った借金の額とオーナーの収益力を考えると、完済は難しいところです。
破産をすることも検討しましたが、本人の意向により
少しずつでも支払っていく方向で話を進めていくことになりました。

オーナーは今後の収入と生活費から返済に回せそうな額を見積もり、 保証協会にこの額を超えない範囲での月々の支払いにしてほしいと持ちかけました。
保証協会もこの提案に応じ、これで一連の廃業の手続が終了したのです。

しっかりと債権者に情報を伝え、数字をオープンに公開したことで
スムーズに話が進んだのでしょう。

『成功のポイント』
■ 資産や事業の価値を保って、できるだけ高く売る
情報を債権者に伝え、堂々とオープンに進める

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