01.血縁のない従業員後継者に株式を継承

従業員後継者への株式継承

血のつながらない社内のスタッフを
後継者に決めた場合を考えてみましょう。

(社内のスタッフには経営幹部も含みます)

大きな論点は「株式の移転」と「個人保証」になると思います。

なお、先代社長が株を持ち続け、
従業員後継者はただ経営のみを
行うケースもあり得るかもしれません。
(雇われ社長のパターン)

それでも先々のことを考えたら、
経営権と株式はセットで継承させたい場合が多いはずです。

 

遺言で保険をかけておくこと

もし後継者が子供だったら、
最悪先代社長の相続でも株式が届くという
落としどころがあります。

決して良い落としどころでありますが、
最低限のセイフティーネットがあるのです。

しかし、血縁のない従業員が後継者となる場合は、
相続で株式を手渡すことができません。

これは事前に手を打っておかなければ
いけないことを意味しています。

 

かつての支援先では、
「社長と血のつながっていない若手の社員を後継者にする」と、
社長は早くから宣言していました。

しかし、何もしないまま、急死してしまったのです。

どんなに社長が生前に宣言していても、
法律上株式は相続財産に回されます。

このケースでは先代社長の妻や子供たちが
相続権を持っていました。

しかし、彼女たちは余計な面倒に巻き込まれることを恐れて
相続を放棄してしまいました。

後継者は株式を所有する者と
株の譲渡に関する交渉をしたかったのですが、
その相手すらいません。

結局裁判費用や弁護士費用で
多額のコストを費やされることになってしまったのです。

万が一のことも考え、
遺言などを使って保険をかけておくべきケースでした。

 

株の渡し方

先の事例では、
「従業員Aに会社の株式を遺贈する」
という遺言さえ書いておけば、
そんな苦労をせずにすみました。

遺言や死因贈与などを使って、
死亡時に従業員後継者に株式を手渡すことは可能です。

ただ、死亡時に株式が移転されるようでは、
事業継承的には遅すぎます。

社長の目の黒いうちから、
売買や贈与で株式を従業員後継者に届けるのが原則です。

事業継承という会社にとっての重大なテーマを、
単なる「社長の相続」ぐらいにしか考えていない専門家もいます。

社長さんには、使命感をもち、意識を高く保って
事業承継に取り組んでいただけることを願います。

 

後継者は株式を買えるか?

株式の値段はいくらが正当か。

これはМ&Aの時の価格算定と同じになります。

⇒株式価格の計算

あくまで株式を対象とした取引なので、
適正な価格で売却し、
社長は対価を手にした方がいいでしょう。

 

・・・と、ここまではあくまで建前の話です。

しかし、残念ながら、小さな会社では
そんな理想通りいかない場合が多いのです。

会社に資産が充実していたりすると株価は跳ね上がります。

これまで勤め人だった従業員後継者が、
はたしてそんなお金を用意できるでしょうか。

難しいところです。

 

そもそも株式の価値算定の基準だって、
現実に合っているとは思えません。

流通性があって、他者にでも売れる上場株式なら話は別です。

しかし、小さな会社の株式で、
買い手になり得る人が
その従業員後継者しかいない場合も多いでしょう。

買い手がそんな独占的交渉権を持つならば、
普通は値は下がりますよね。

高値で売ることにこだわって誰も継がなければ意味がないし、
お金を搾り取ったことで
その後の事業や後継者の生活が破たんさせてしまっても・・・

そんな現実も踏まえ、どうにかこうにかやらなければならないのです。

 

株式の継承を実現する案

株価を下げる

財務内容を下げたり、利益を減らせば結果的に株価が下がります。
たとえば先代が退職金をとって資産を減らすなどが代表例でしょう。
株価が下がれば後継者への売買や贈与がしやすくなります。

 

分割払い

後継者から先代社長へ分割で代金を支払うことも可能です。

営業をしながら後継者が給与をうけとり、
その一部を株式売買の分割払い分として払うのが一例です。

 

複数で買う、持株会で買う

複数の人間で株を買ったり、
従業員の持ち株会を作って買う案もあります。

一人で資金を工面するよりはお金を用意できるかもしれません。

その場しのぎだったり、絵に描いた餅のような話になりがちなので、
よく検討して採用しましょう。

 

銀行やファンドから資金を調達

株式の買取り資金を銀行から調達することも考えられます。
日本政策金融公庫にはそれ用の支援制度も用意されています。

後継者が株式買収会社を設立し、
金融機関やファンドから買収資金を調達する場合もあります。

借入等は、会社のキャッシュフローから返済していくことになりますが、
やや大きめの会社向けかもしれません。

 

分社手法を使う

小さな会社の事業継承にハマる可能性が高い手法です。
詳しくはリンク先をご覧ください。

 

→ 第三者事業継承の支援について

 

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