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事業承継に取り組もうとする自治体職員、まちづくりプレーヤーの方へ

先日、山口県の阿武町から事業承継についてお話を聞きに来てくださった件をブログで紹介しました。

そのやりとりで気づいたり、頭の中が整理されることがあったので、あらためてここで書いておきたいと思います。

社長や店主の事業承継を煽るのはNG

地域づくりのために事業承継を推進しようとするならば、まず今の店主や社長にその気になってもらわなければいけません。

移住の際の仕事として、後継者がいない店や会社を継げる機会を作るという発想には可能性を感じます。

しかし、肝心の先代社長や店主にその気がなければ、それでとん挫してしまいます。

僕のお客さんの場合は、いろいろ自覚していて「どうにかしたい」と思っているから、わざわざ声をかけてくださいます。

でも、地域の取組みでは、店主たちの気持ちを作ることからはじめなければいけないわけです。

では、どうすれば店主や社長は「事業を若い人に譲ってもいい」と思うのでしょうか。

簡単なことで「事業承継に成功できればいい思いができる」と欲を刺激すればいいはずです。

ただ、そんな動かし方をして果たして、その後の事業承継がうまくいくでしょうか?

まず無理でしょう。

事業承継の取組みの失敗パターンのひとつとして「先代のマインドと現実の乖離」があります。

たとえば、値段調整になったときに「ウチの会社の価値はもっと高いはずだ」と思い込んでいたり。

「あいつは頼りない」とか「使えない」と、後継者候補を認めようとしなかかったり。

「これは俺の事業だ」と言わんがばかりに、いつまでも我物顔で振る舞ったり、と。

先代は実力を勘違いしているし、現実が見えていない場合がよくあるようです。

しかし、実際には「普通に考えれば廃業するしかない会社」というのが、現実だったり。

当然、そんな先代とやりとりする後継者候補は嫌気がさしてしまいます。

先代を動かそうと、過度に美味しそうなニンジンをぶら下げてはならないということが分かります。

煽るのはNGです。

そもそも説得なんてできない

調子に乗らせず、現実をふまえたうえで、でも「継がせたい気持ち」になってもらわなければなりません。

すると「じゃあ、どうやって説得するか?」と考えがちです。

しかし、ここが落とし穴。

説得しようとしてはいけません。

まず、誰だって説得はされたくありませんよね。

そして、説得して人を動かすことなんてできません。

どんなに正しいことを言われたって、納得できないことに対して人は動けません。

「説得すれば自分たちの思うように相手を動かせる」

こんな発想は傲慢でしかありません。

私たちにできることは、店主や社長に未来の姿を提示し、選んでもらうことぐらいでしょう。

「誰かに事業を引き継ぐならこんな未来が待っています。もし、それをやらないで廃業するなら、待っているのはこんな未来ですね」と。

このように未来を提示して、どちらにしたいか選んでもらうと、中には廃業を選ぶ人がいるかもしれません。

それは仕方ないと思うのです。

行政の方などからは「全体をどうにかしなければ」と考える傾向を感じます。

たとえば「廃業で店や会社が減っていくことへの対策なのだから、1社たりとも廃業を出してはいけない」という感じで。。。

でもそれははなから無理な話。

割り切るところは割り切って、いい案件まで取りこぼさないようにすることが重要だと思います。

もっと肩の力を抜いていいのではないでしょうか。

選択肢を提示すれば「若い人に継いでもらいたい」という店主や社長だってきっといるはずです。

廃業を一つも出さないことではなく、滞っている今の状況を動かすことを目的にしましょう。

対話をすればコトが動く

先代の店主たちが自分で判断を下し、先に進んでもらえるようになるには『対話』の機会が極めて重要になります。

対話をする機会があれば、店主たちの頭の中は整理され、動いていきます。

僕が『扉をひらくインタビュー』というメニューを作っているのもその理由です。

対話の機会が大切であるのだから、誰と対話するかももちろん大切です。

まず、相手に寄り添って話を聞ける人でなければいけません。

正しい知識を教えるとか、説得するといった上から目線のスタンスとは間反対です。

かといって、ただ話を聞くだけではダメな場面もあります。

店主の誤った思い込みが強ければ、それを気づかせることもできなければなりません。

もちろんある一定の知識(法律や財務などについて)は共通言語としてもっておいていただきたいところです。

思うところを書き出して振り返ると「こんな人材はめったにいない」と気づいてしまいました(汗)

で、でも、最初からパーフェクトな人なんてどこにもいません。

まずは正しい方向を目指しながら努力していくしか仕方ないと思います。

経験不足は熱意で補えます。。

勘違いしていただきたくないのは、資格をもった先生業の人間に任せておけば安心だという考え方です。

対話にはヒューマンスキルが一番の肝であってそれが不足している人はたくさんいるのが現実です。

外部の人間を活用しようとするならば、資格で人を見ず、その人の本質を見極めてください。

以上となります。

何かの参考になれば幸いです。

もちろん、僕がお役に立てそうなことがあれば、遠慮なくお声がけください。

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この記事を書いた人

奥村 聡(おくむら さとし)
事業承継デザイナー
これまで関わった会社は850社以上。廃業、承継、売却・・・と、中小企業の社長に「おわらせ方」を指導してきました。NHKスペシャル大廃業時代で「会社のおくりびと」として取り上げられたコンサルタントです。
最新著書『社長、会社を継がせますか?廃業しますか?』

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奥村はメールマガジン『社長の着地戦略会』を発行しています。
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