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残業学と事業承継と社長の流動化と

あるきっかけで、残業に関する本を読ませていただきました。

データーの量がすごく、図やイラストもとても豊富です。

手に取ってすぐ「ここまで作り込むの大変だったろうな・・・」と感じました。

職場の働き方改善を考える方には、是非とも手に取っていただきたい本ですね。

『残業学』(光文社新書)

本の中で、なぜ、日本で残業が常態化したのかに触れていました。

「これまでは残業によって、仕事量の調整をしてきた」からだそうです。

日本の企業は、終身雇用を基本としてきました。

また、人を簡単に解雇できない法律等にもなっています。

そのため、仕事が多い時に、すでに抱えている人材に長く働いてもらうことで対応するようになったということです。

仕事量が多い時に合わせて人を雇ったら、仕事が減ったときに人が余って大変なことになりますからね。

見方を少し変えると、これまでの日本は、残業を増やすしたり減らしたりするだけで変化に対応できたということかもしれません。

経済の右肩上がりが続いていて、大きな変化を起こす必要があまりなかったのでしょう。

ひとつの事業の寿命もそれなりに長かったため、それぐらいで対応可能だったのでしょう。

しかし、環境は変りました。

ちょとうまくいった事業だって、あっという間に賞味期限が切れてしまう昨今です。

しかも「正社員にしろ」とか、「ワークワイフバランスだ」と、雇用条件で変化に対応することがどんどん難しくなっています。

企業サイドとしたら厳しいですね。

縛りだけが増えていく感じです。

もう、社会全体の構造が変わらないと無理がある気がします。

大きく、スピーディーな変化があることを前提とする構造です。

労働環境を例とするならば、それは、正社員であっても会社から辞めさせられることが普通の社会かもしれません。

会社は経営状況に応じて比較的簡単に社員を減らすことができる。

その一方で、労働者は簡単に次の仕事が見つかるし、中途採用の求人もたくさんある。

こっちのほうが、今よりも弾力性が高くて、変化に対応できる構造のはずです。

きっとアメリカなどはこんな感じなのではないでしょうか。

よく知りませんが・・・

いずれにしても、大きな変化に対応するには「流動性を高められるか」がポイントとなります。

だから、僕は小さな会社の社長を流動化させたいと考え続けています。

僕が専門とする、事業承継や会社じまいの分野では、社長は固定化されてきました。

一人が何十年も同じポジションを占めるのが普通です。

一度社長になったら、簡単なことでは辞められません。

雇用者と労働者の間には大きな隔たりがあり、社長への道は戻れない一方通行のような状況です。

この構造の弊害や限界を感じています。

風通しがよくならないと、小さな会社を取り巻く世界は活性化しません。

ひいては、地域経済に元気も生まれません。

むしろ、誰でも気軽に社長になれる。

一度社長になっても、いつでもまたサラリーマンに戻れる。

こんな流動性がある社会のほうが、よい結果になるような気がしています。

動きがあって、ワクワクする世界が僕の頭の中には浮かんできます。

実現するにはいろいろとハードルがありますが、小さな会社の社長が流動的な世界を目指します。

『残業学』(光文社新書)

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この記事を書いた人

奥村 聡(おくむら さとし)
事業承継デザイナー
これまで関わった会社は1000社以上。廃業、承継、売却・・・と、中小企業の社長に「おわらせ方」を指導してきました。NHKスペシャル大廃業時代で「会社のおくりびと」として取り上げられた神戸に住むコンサルタントです。
最新著書『社長、会社を継がせますか?廃業しますか?』
ゴールを見すえる社長のための会【着地戦略会】主宰

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