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M&A業者から「御社に興味を持っている会社がある」と言われたけど……

「奥村先生、相談があります。

最近続けて、複数の会社売却の打診をうけました。

弊社への出資希望があるとか、売ってもらいたいと言っている会社があるとのこと。

情報が洩れているのでしょうか。

また、業者と会って話を聞いてもいいでしょうか」



このところこんな相談が増えました。


こちらの会社の社長さんは、実際、M&Aを視野に入れていました。

でも、M&A会社が手あたり次第アプローチをしているというのが事実でしょう。

おそらく情報が洩れているわけではありません。


業者間で、M&Aの案件獲得競争がかなり激化しています。

私が主宰する着地戦略会の会員さんの会社には、ひと月に10通以上のDMが送られきたこともありました。

上場している某M&A会社から一日に2回も「会社を売ることを考えていませんか?」と電話営業があったと、憤慨している社長もしました。

依頼主と業者との間におけるトラブル防止の観点から、M&A業者の登録制が進められました。

でも奥村としては、こっちのえげつない営業攻勢の問題をどうにかしろ、と言いたいところです。


こう営業合戦が過熱すると、普通のメッセージでは埋もれて響きません。

そこで、M&Aの売り案件が欲しい業者は考えました。

「御社に興味がある会社があります!」と臭わせてアプローチしたら、興味をもって引っかかるのでは、と。

ちなみに同様の手口は、不動産の営業でも使われています。

これで釣られてくる社長は会社を売ることに関心があるわけですから、「じゃあウチで仲介します」という話の展開が見込めます。

ぶっちゃければ、具体的な話なんてまったく存在していな可能性だってあるのではないでしょうか。


買収提案というタイプのM&Aの動きもあります。

たとえばある会社が「食品製造の会社が欲しいから探してきて」とM&A業者にリクエストします。

M&A業者は、ターゲットになりそうな会社を探し、声をかけます。

この場合、まったくのデタラメではありません。

でも「御社に興味のあるところがあります」と言いつつ、実際にはたくさんの相手に同じことをやっているのではないでしょうか。

そう考えると、あまり精度の高い話だとは思えません。



「御社に興味を持っている会社がある」と言われると、自尊心をくすぐられる社長がいてもおかしくありません。

興味本位や、ときにはスケベ心で、話を聞いてみたくもなるでしょう。

しかし、奥村の意見としては、基本的に無視したほうがいいと思います。



重複になりますが、「あなたの会社を買いたい」という話のほとんどは、あまり具体的ではないというのが理由がひとつです。


また、万が一話が進んで売ることになった場合でも、M&A業者をこちらで選べません。

バカ高い手数料を支払わされるかもしれません。

買い手の都合ではじまる話に乗ることは、ベターな結末を遠ざける可能性が高いことは、容易に想像がつきます。


別の悪いケースも頭に浮かびました。

もしかしたら、ここで買い手候補と接点と持ってしまったことが、将来本格的に「売ろう」と動いたときの制限になってしまうかもしれません。


たとえばあなたが興味本位で、M&A業者から引き合わされた、「あなたの会社を買いたいと言っている」会社と会ったとします。

その後、本格的に会社を売ろうと動き出したとき、過去に接点を持ったこの会社が、また手をあげてきたらどうでしょうか。


今回はそのときのM&A業者とは別の会社を仲介業者として使っていたとします。

しかし、当時のM&A業者は「その買い手はウチの会社がマッチングした相手だ。仲介手数料を払わないならば、違約金を請求する」と言われてもおかしくありません。

契約には、そのような縛りがきっと入れられていることでしょう。


これらの理由から、「あなたの会社に興味を持っている会社がある」という誘いは、個人的には無視したほうがいいと思います。

もちろん、ものすごく良い話である可能性は否定できません。

しかし、リスクに対し、その可能性は相当に低いはずです。


自分主導でM&Aに動けば、業者を自分で選べるし、いろいろと融通が効きます。

自由に動ける分だけ、結果も出しやすくなります。

同じ会社を売るのであれば、肚を決めて、自分主導で動いて欲しいところです。

外野は騒がしいところですが、そのときまで自重しませんか。


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この記事を書いた人

奥村 聡(おくむら さとし)
事業承継デザイナー
これまで関わった会社は850社以上。廃業、承継、売却・・・と、中小企業の社長に「おわらせ方」を指導してきました。NHKスペシャル大廃業時代で「会社のおくりびと」として取り上げられた神戸に住むコンサルタントです。
最新著書『社長、会社を継がせますか?廃業しますか?』

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奥村はメールマガジン『社長の着地戦略会』を発行しています。
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