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会社の継続を懇願された社長

「会長として残って、自分たちがやる仕事を見守ってよ」


西日本に拠点のある製造業のクライアントさんの一コマです。

斜陽産業に属し、もう何年も赤字が続いています。

過去の利益蓄積でなんとか事業を続けている状況でした。


社長は、自分の年齢的にもケジメをつけるタイミングだと考えました。

奥村と話し合い、廃業まで覚悟のうえで、1,2年のうちに事業を完全に手放すことを決めました。

従業員さんに事業を引き継いで独立したいかを聞き、場合によっては他社に事業譲渡を持ちかけ、それでも誰も引き取らなければ自主的に廃業するという流れをイメージしています。



先日、この話をはじめてキーマンである従業員さんにお話することになりました。

廃業とかM&Aの話というのは、秘密にこっそり進めることがセオリーです。

でも、奥村が関わる先では、話をオープンにして進めることも少なくありません。

情報漏洩のリスクよりも、堂々と話を進められるほうが有効な場合があります。



社長は自分の考えや決断を従業員さんに打ち明けました。


従業員さんたちは、かなりショックを受けている様子です。

そして、今取り組んでいる仕事は実になると思っているからやらせてほしい。

社長は一線引いて、会長という立場で会社に接するのではどうか。

逆に社長に対し要望や提案がなされました。


社長は言葉に詰まります。

会社全体に数字を見てきた社長と、現場の仕事に集中している従業員さんでは、温度差、間格差があるのは当然なのでしょう。


奥村が間に入って整理をさせていただきました。


まず、廃業が決定したということではなく、事業を残すための方策を尽くしてみることが先であること。

廃業という言葉まで出てきたので、従業員さんは、「すぐに今の仕事ができなくなる」と受け取った様子がありました。


また、会長になって残るという提案については、社長の表情も見つつ、僕のほうから難しいと思うとお伝えさせていただきました。

赤字が何年も続いているため、もう白黒はっきりさせないといけないこと。

年齢や健康面を危惧し、社長のご家族がしっかり身を引くことを望んでいること。

決断の背景もお伝えしました。


最後に、このような形でお話したのは、社長が「仲間であるみなさんと真っ先に話を共有させてもらいたい」と願ったからだと伝えました。

秘密裡に話が進められ、従業員さんたちは結論だけを最後に聞かされる、というパターンになることを社長は避けたかったのです。


従業員さんたちも状況や社長の意図を理解し、納得してくれました。

今後は一緒の方向を向いて会社の着地点を探すことができそうです。


「社長が先に俺たちに言ってくれて、考える機会をくれたことがありがたい」

こんなコメントをしてくれた方もいました。


奥村はこんな感じで、話の現場に立ち会い、見落としている視点を投げかけたり、論点を整理させていただくことがあります。

当事者が上手に話し合いをするための潤滑油といった役目でしょうか。

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この記事を書いた人

奥村 聡(おくむら さとし)
事業承継デザイナー
これまで関わった会社は850社以上。廃業、承継、売却・・・と、中小企業の社長に「おわらせ方」を指導してきました。NHKスペシャル大廃業時代で「会社のおくりびと」として取り上げられたコンサルタントです。
最新著書『社長、会社を継がせますか?廃業しますか?』

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奥村はメールマガジン『社長の着地戦略会』を発行しています。
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