株式の帰属先を整えるために公正証書遺言を作成

まずは相続発生時の株式の動線をおさえる

お孫さんから声がかかり、もうすぐ90歳となるおじい様とおばあ様から相談をお受けしました。

おじい様は会社を創業し、現在は長女とその夫が経営をしています。

長女夫婦の子供は会社を継ぐ気が無く、今回私を見つけてくれた三女の子供さんが次の後継者となる流れです。

社長のやり方が気に入らない

おじい様たちは、娘夫婦のやり方にたいして非常に不満を感じていました。

会社のことは聞いても情報を開示しません。

そのくせ、銀行から借金をするときには「個人保証の判をおしておいてくれ」と当たり前の顔をして要求してきます。

会社を個人の食いものにしている話も耳に入ってくるし、その他でもバカにされたように感じる場面がたくさんあったそうです。

「自分が作った会社のためにも、どうにかしてやりたい」と悔し涙を流しながら語っていました。

 

実は長女が持つ株式は全体の4分の1程度しかありません。

それ以外は、主に父と母が保有しています。

株主総会を開かせて取締役の解任を決議すれば、娘夫婦を辞めさせることができそうです。

遺言を作って守りから固める

ただし私は「まずは株式の行く末を落ち着かせておくこと」を提案しました。

もしこのままおじい様とおばあ様に相続が発生したら、株式は相続財産となります。

遺産分割で話し合いをしなければならなくなるし、結果として長女の議決権が増えることも考えられます。

話し合いが紛争になる可能性も大いにありそうです。

お二人の年齢も考慮して、まずは遺言を作り、株式を三女のお子さんに集めていく流れを確保しておいた方がいいと考えました。

 

同様に、長女が持っている株式もいずれ決着をつけなければいけません。

仮に三女のお子さんが社長となるときに、敵対しかねない相手に株を持たれていては厄介です。

三女かそのお子さまに、資金も一緒に相続等させることで、長女から株式を買取れるようにしておきたいとも考えました。

 

上記のような株式のことを最優先しつつ、その他の土地や建物などの資産の帰属先も含めて遺言に落し込むことにしました。

効力を確実にするため公正証書の遺言にします。

公正証書遺言は、公証役場の公証人立会のものに作成される遺言です。

費用はかかりますが、形式面のミスを回避できるし、相続発生時、家庭裁判所の検認という作業を省けるので楽です。

出張も可能なので、お二人の健康面も考ええて公証人に自宅まで来てもらうことにしました。

遺言執行者には私が就任し、相続が発生したときにすぐ指示や手続が行えるようにもしています。

今後の攻めを検討する

どうにか無事に遺言を完成させることができました。

ここからようやく社長解任の件などを検討できます。

あれこれ一気に進めようとすると混乱を生じさせてしまいます。

近々、弁護士のところに行って、そのやり方等を相談をさせてもらうことにしました。

私も一緒に話を伺います。

 

また可能な範囲での節税対策もしておきたいところです。

それなりの相続財産になるため、相続税の申告等は無視できない案件です。

少しでも税金を減らして、今後の備えとしておきたいのが本音です。

 

ただし、税金を優先させると落とし穴にはまりやすくなります。

今回のようにまず遺産分割対策を優先し、それからできる範囲で税金の対策をしたほうがベターな場合が多いのでしょう。

先に税金を優先すると、法的なリスクを抱えたり、当事者感情で衝突しやすくなってしまいます。

 

アクションのススメ

事例をお読みいただき、ありがとうございました。

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М&Aを前提に会社分割を利用して分社

売りたい事業をあらかじめ子会社に

都内のベンチャー企業の社長さんから声がかかりました。

若くエネルギッシュで、意欲的に経営をなさっている方です。

「事業部ごとに別会社化させて、各社の社長の責任と権限を明確にしたい」という意図でした。

いわゆるカンパニー制というものでしょう。

会社分割等を使った会社再編を得意としていたので、いつもどおり、そのメリットデメリット、やり方につき説明しました。

 

会社分割で子会社を作っておくメリット

「今後は新しい事業を作って育てては売却し、また新しい事業を開発するような展開をしていきたい」

ひととおりの話が終わったときに、社長はこんな将来ビジョンを語りました。

すでに売却対象とできるぐらいまで育てた事業も、今回の相談の事業とは別にあるとのこと。

そこで、会社分割でその事業を別会社にしてしまい、子会社として元の会社にぶら下げることを提案しました。

 

提案の目的は、事業をM&Aで売りやすくするためにあります。

 

まず、様々な事業が混在した会社は、買い手からすると買いにくいものです。

分かりにくいからです。

もちろん、会社ごと売らないで事業だけ売る方法(事業譲渡)もあります。

それでも買収する事業の中に何が含まれているのかは見えにくいもの。

一方、別会社しておけば、会社をそのまま売買するだけなので、取引は楽になります。

 

会社ごとに決算書があるというのも安心材料です。

「この会社を買いませんか?」と、決算書をそのまま見せることができるほど参考になる資料はありません。

 

分社内容を自由に設計

会社分割をするには、分割計画書などの書類を作り、株主総会の決議などを行います。

ありがたいこととして、新会社のために改めて資本金を積む必要がありません。

あくまで既存の会社を再編して分けるだけでという概念です。

逆に言えば、再度合併しても従前と同じ状況でなければ話がおかしくなってしまいます。

 

そして、何を元の会社に残し、何を新会社に持ち出すかも自由に設計できます。

資産も借金も、従業員も、です。

(ただし、従業員の場合は協議等の手続をふみます)

借金など、M&Aの際に扱いが面倒になるものは親会社に残し、純粋に事業に必要なものだけを子会社に持ち出す。

こうすることで、きわめて売りやすい会社を作ることができます。

 

私の話を聞いてその使い勝手の良さに気づいた社長は、すぐにその案の実行を決めてくださいました。

会社分割等の手法を使って、資産や負債を管理する会社を親会社とし、その下に各事業を行う3つの会社を作りました。

 

М&A成功!!

会社分割を実行してから1年あまり。

売却を想定していた子会社に対し、予想よりも良い条件での買収オファーが寄せられました。

社長は、この子会社の株式を売却することを決意。

売却交渉やその後の調査(デューデリジェンス)等は極めてにスムーズに進みました。

こちらは狙い通りです。

M&Aで手に入れた資金は新たなサービスの開発資金に回されます。

 

また、権利と責任を明確にするために作った別の法人でも化学変化が起きました。

経営を自分ごととして捉えられるようになった元従業員たちはやる気を出し、業績をかなり向上させたそうです。

そのうちの一社では、子会社の社長に就任した人間たちが「株式を買い取って完全に独立すること」を希望してきました。

社長もこの動きを歓迎し、株式の売却を快諾しました。

以前からスタッフの奮起と自立を望んでいた社長としては、理想的な展開でもあったのです。

 

小さな会社でも会社再編は役に立つ

会社分割等の会社再編の話は、概念的すぎて分かりにくい部分があります。

また、それを担える専門家が少なく、実行しようとすると多額のコストがかかるケースもあります。

それでも実は使い方次第でいろんな可能性を広げてくれます。

そして中小企業こそ、その恩恵を受けるべきだったりもします。

 

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経営方針が合わない兄弟は会社分割でそれぞれの道へ

会社を分ければ突破口が見えてくる

「会社を分けられないか?」と、ある会社の専務から相談がありました。

創業25年。

2代目となる長男が社長、次男が専務を務めています。

 

社長と専務では経営ビジョンが異なり、関係がこじれているようでした。

旧来のスタイルで資産等の所有にこだわる社長と、資産を持たずソフトで稼ごうと考える専務です。

また、専務としては経営者としての社長のやり方にも不満があるようでした。

二人の間では何度もバトルが展開され、専務から「社長を自分に変わってくれ」と申し出をしたこともあるそうです。

そして、それぞれが別の会社をやるのがいいと考え、私のところに相談に来られました。

 

仕事を引き受ける条件

「社長も同意してくれるならば、仕事を引き受けます」

私の答えです。

専務だけでなく、兄の社長からも私が間に入ることを求められれば、私はこの仕事ができます。

逆に、「奥村を間に入れるつもりはない」「分社なんて言語道断」と拒絶されるようならば仕事はできません。

対立構造になってしまったら、そのときは弁護士なりの出番でしょう。

私は、お互いが「会社を分けたい」という同じ方向を向くことを条件に、会社のためにコーディネート等を行います。

 

専務におぜん立てをしてもらい、単身で社長に会いに行きました。

これまでの経過を聞きつつ、分社の話をもちだしたところ、「ここまできたら、それも仕方ない」との回答がありました。

 

コーディネート開始

まずは社長と専務、再度、それぞれと深くコミュニケーションを取りました。

目的はこれまでの経緯を知ることと、その「人」を知るためです。

法律や会計の問題だとしても、結局は人間感情の話です。

何が許せなくて、どうなれば納得できるのか。

その人の持つ価値観のものさしを把握できていないと、打ち手を誤りかねません。

 

次に、会社の状況やそれぞれの要望をふまえた分割案のたたき台を作り、調整をしていきます。

資産や負債の分け方(貸借対照表)と、売上や経費の案分(損益計算書)、従業員の処遇などについてがメインです。

それぞれの意見を聞いて、内容を計画に反映させていきます。

かたちが見えてきたら、税理士も交えて税金的な問題がないか、あればどのように解決するかを検討しました。

今回は、新会社に移る専務が旧会社より退職金をとることで、節税を実現しています。

 

「話し合いのルール設定」や「対外的な対応の仕方へのガイドラインづくり」もとても大切です。

たとえば「分社に関するやり取りはすべて奥村を通じて行うこと」などを、話し合いのルールとして設定しました。

また、銀行にはどのタイミングで、誰がどのように話をするか。

顧客にはどんな言い方をして、分社を理解してもらうか。

このようなポイントでガイドラインも作りました。

 

会社の価値を損なわないために

常に意思しておくべきは、今回の件で会社の価値を棄損しないことです。

話し合いが紛糾すれば、会社分割が成功しないだけでなく、深い傷跡を会社に残します。

周囲に上手な根回しができなければ、分社で新たな旅立ちを迎えても、顧客等が付いてきてくれなくなります。

下手な手を打ってマイナスを生むことなく、さらには今回の分社を新たなチャンスに変えられるよう油断してはいけません。

 

計画が整って社長と専務の間で同意がとれたら、あとは手続を実行するだけです。

社長とともに銀行を訪ねて今回の会社分割についえ説明し、理解を得ました。

従業員を集めて今後の会社の方針や待遇についてミーティングを開催しました。

登記の申請や税務、労務の手続などをも行い、会社分割の実行日を迎えました。

 

会社分割で想いとかたちを整える

兄と弟はそれぞれ、旧会社と新会社の社長として新たな旅立ちを迎えました。

本当に修復不能になってしまう前に、落としどころを見つけられたと思います。

関係者の想いをかなえたり、各自のチャレンジを後押しする手段としての会社分割の利用価値を改めて感じた一件でした。

 

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商店街で閉店する豆腐屋を継業した3人の女性たち

継業で、既存の商売を引き継いで活かす!

全国的に増えてしまっている、いわゆる『シャッター商店街』。

そこを舞台に廃業を決意した豆腐屋さんと女性グループの間で、継業が成立しました。

 

「障がいを持った仲間も一緒に働ける場を作ろう」と活動しているグループがありました。

続けていくために、補助金にはできるだけ頼らずに価値を生出せる場を作ろうと志しています。

当時の収益源は、チラシのデザインや障がい者の就労に関する講演などです。

しかし、スタッフを抱えるに十分な売上がに届かず、今後どうしていくか悩みを抱えていました。

 

廃業する豆腐屋を継業

新しい事業を作りたいと考えていたところで、同じ商店街の中にある豆腐屋の店主のことを聞きました。

後継者がいないために「もう店をたたむ」と言ってまわっているそうです。

グループの代表のNさんは、この情報にビビっと感じました。

「自分たちが豆腐屋を継げばいいのではないか!?」

ほとんど面識のなかった豆腐屋の店主を呼び込み、「豆腐屋をやらせてほしい!」
とお願いしたのです。

 

突然の申し出に最初は戸惑い、どうせ無理だからと断っていた店主も、Nさんたちの熱意に押されついに首を縦に振りました。

 

こうして豆腐屋の継業がスタートしました。

メンバーの女性3名が、製造、配達、事務に手分けし、弟子入り。

 

 

2年の承継期間を経て、完全に彼女たちの手に運営が引き継がれています。

奥村は、先代との承継に関する条件面の調整や、諸手続きの書類作成などをお手伝いしました。

 

価値観の違いを超える

そもそも早朝からはじまる豆腐屋のお仕事は大変です。

また彼女たち自身の独自の活動や他の仕事もあるので、毎日がハードワークでした。

 

しかし、一番大変だったのは先代との価値観の違いだと言います。

 

家業として長年続けてきた人間と、そうでない人の間では考え方に差があるのも当然なのでしょう。

ときに製造方法や働き方をめぐって、意見対立するような場面もあったそうです。

 

 

 

それでもNさんたちは我慢するところはグッと我慢しました。

また、徐々に先代の扱い方のコツがわかるようになり、上手にかわしながら指導をしてもらえるようになりました。

 

ひととおりの仕事ができるようになってからは、彼女たちのオリジナリティを出す試みに着手しました。

パッケージのデザインを変えたり、より手間暇かけた作り方の豆腐を発売したり。

おかげで新しいお客さんがつき、遠方にもファンがいるような状況になりました。

この現象は、事業承継によって新しい人の感性が加わったり、時代の変化に対応することで、事業に新たな価値が生み出される可能性を教えてくれます。

 

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不仲な父と息子をつないだ事業承継

ファシリテーターを加えて話を詰める

親子関係が相当に悪化している親子でした。

創業者である父親と専務たる息子。

もともと合わない二人だったものの、さらに経営方針をめぐり対立が激化。

実質的な経営権は、従業員や外部協力者からの支持を受けている専務がにぎっていました。

 

ある時、社長の椅子を譲り会社から去って欲しいという要求を受けた社長は、「そこまで言うなら分かった。代表権は譲る。ただし退職金などはしっかり払ってもらう」と条件を出しました。

売り言葉に買い言葉だった面もあったのかもしれません。

それ以降は、退職金の金額等の折り合いがつかず、感情的なもつれもあり話し合いが機能しなくなってしまいました。

お互い意地になっていたのでしょう。

 

間に入って緩衝材となる

このタイミングで奥村が会社の顧問として入りました。

 

まず、膝を付け合わせて社長と専務と話を聞きました。

会社のこれまでの経営であったり、個人のこれまでの人生であったり、と。

数字に現れないような、価値観や考え方の傾向を知ることが目的です。

こうすることが案件に寄り添おうとする姿勢を伝え、私への信頼にもつながるのかもしれません。

 

なお、このケースでの私の立場は誰かを代理するものではありません。

特定の人間の利益を高めることを目的とするのでもありません。

双方の間に入り、論点を明確にして落としどころを見つけるファシリテーターのような役割です。

当事者が直接話をしようとすれば、対立感情が先だって冷静に考えられません。

私を介して意見を伝えることで、建設的な話ができるようになります。

 

こだわりの本質はどこにあるのか?

次に、詰めるべき論点を並べ、一つ一つ希望を聞きます。

「退職金はいくら欲しいか」「退職後の会社との関係をどうしたいか」などです。

語られる言葉を、額面通りに受け取らないように意識しておくことも大切でしょう。

本音が素直に出てこない場合があります。

もっと別の原因が根元のところに引っかかっている場合もあります

 

たとえば「退職金10億円欲しい」と社長が法外な条件を要求しているとします。

それに応じたら会社は潰れます。

でも、その根っこを深く探っていくと「創業者である自分をもっとリスペクトしてほしい」という願いが埋まっていたりします。

案外、本人も自分で気づいていないかもしれません。

根っこにある原因が分かったならば、先が見えてきます。

このケースなら退職金とは別の方法で、創業者の気持ちを満たしてあげられる手段を見いだせればハードルを突破できる可能性があります。

 

細部まで論点を詰める

事業承継での合意を形成するに大切なことは、各論まで一気に詰めることです。

社長を交代するという方針が決まったならば、時期や条件、やり方など、細部まで話をまとめてしまわなければいけません。

これを怠ると、細部を詰め始めたときに「話が違う」となって、決まっていた大枠まで台無しになりかねません。

この事例でも、一度は地元の有力者が間に入って「円満に社長交代をしていこう」という方向に話は決まりました。

しかし、後に「退職金はいくらにするか?」「社長の持つ株式はどうするか?」という細部を詰めはじめたら、話し合いは暗礁に乗り上げ、円満な社長交代という決定事項すら揺らいでいました。

 

大枠を押さえつつ細部まで詰める必要があります。

事業承継を分かっている人間を交えて取り組む価値が高い部分です。

 

双方が譲歩し、ほどほどの結論へ

なんとか話はまとまり、私がその合意内容を書面に落しました。

また、外部に向けた案内や、社内向けのアナウンス、金融機関への対応などを助言。

役員変更の登記や退職金等の決定事項の履行などを管理し、新体制スタートへのガイドを行いました。

 

話し合いはついたものの、親子間の不仲が解消されたわけではなく、気がかりは残ります。

しかし、お互い立場が変わることで相手に対する見方が変わり、関係性が改善された他のケースを見たこともあります。

 

社長も専務も、どちらも結果に大満足はしていないでしょう。

それでも、おたがい「ほどほどのところに落ち着けた」とスッキリできたと感じています。

 

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3人の子供に会社を3つに分けて事業承継

事業承継に会社分割を活用

社長をしていた父親が亡くなり、今は母親が社長、子供たち3人が役員というかたちで不動産事業が運営されていました。

子供たちの間にはそれぞれに思うところがあり、このままのかたちで進んでいくといずれ考え方の違いなどで衝突してしまうという不安がありました。

そこで「将来の事業承継まで視野に入れ、3社に分社していくことを検討しています」と、奥村に声がかかりました。

 

船頭多くして船山に登るという言葉があるように、みんなの合議で運営していくというのは案外難しいもの。

また、子供や孫の代までを考えていくと、関係者が増えて行ってどんどん風通しが悪くなることが予想されます。

固定化して運営するのではなく、その都度、運営形態を整理していくスタンスは間違っていないのでしょう。

その手法として、会社分割などをはじめとした分社は使い勝手がよいものです。

 

各自を深く知ることから

奥村は仕事の受任が決まると、各自と相当な時間を使って面談をしました。

過去の幼少期の環境にさかのぼったり、将来の希望を聞き取ったり、と。

法的手続や数字を整理するだけならば、別に当事者のことを知らないでもできてしまいそうです。

しかし、最初手間と時間をかけることで、コミュニケーションが円滑になります。

また、各自の価値観等を深く感じることで、提案内容や仕事の進め方に対する精度が上がると考えています。

 

各自の意見の聞き取りに加え、現状分析などをふまえて、会社の分け方の提案をしました。

裏では、税理士や司法書士、不動産の専門家等と綿密に打ち合わせをしたり、見積もりの調整もしています。

分け方だけでなく、これからかかる費用や税金、スケジュールも見える化しています。

どのビルを誰が引き継ぐかという仕分けは難しい面もありましたが、一発で全員から同意を頂けました。

事前の密なコミュニケーションが生きたのでしょう。

 

別々の分野をつなぐ役割

あとは、その内容に合わせて会社分割や不動産名義の変更、会計処理などを行います。

最後に、遺言の作成など相続対策まで終えればひと段落となります。

 

奥村はこの一連の取組みのプロジェクトマネージャーとして采配しました。

今回の事業承継では、不動産の査定、会社分割、税金的なチェック、遺言作成、不動産名義の変更、当事者の意見調整・・・が含まれます。

社長業は未経験な子供たちには、会社の運営のイロハからレクチャーもしています。

 

これらは別々の分野またがる話で、それぞれに専門家がいるぐらいです。

しかし、事業承継といった取り組みをするにおいては、まとめて考えなければうまくいきません。

すべてを視野に入れて取り組みを計画できる人間が求められるはずです。。

会社の出口づくりを担う奥村が一番価値を発揮する場面です。

 

当事者感情が一番大事なこと

とはいえ、会社分割や会計処理等は所詮スキルの話です。

人間は感情の生き物であり、安心や納得といった面の方がずっと大切だと考えます。

技に走るとろくなことが無いと感じています。

 

このお仕事は、声をかけた複数の業者の中から奥村が選ばれたと聞いています。

大手のコンサルティング会社や会計事務所からの話も聞いたということです。

その中で奥村が選ばれたのは「当事者感情に一番寄り添ってくれそうだから」だと言います。

 

たとえば他の業者は、税金のスキームに特化したアピールに終始していたそうです。

でも、私だけが「みなさんの関係がギスギスしないように寄り添いながら仕事をします」と言っていたようです。

もちろん法律手続きや税金面でもうまくやるのは当然ですが、それ以上にみんなが気持ちよく安心できることが一番大切だと思っていました。

これが会社の運営や事業承継のことで、兄弟が不仲になりたくないというクライアントの想いに響いたようです。

 

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事業承継を機に後継者が劣化したビジネスモデルを再構築

事業承継の途中で会社の命運が尽きた

ものづくり会社の後継者の立場の方から相談がありました。

後継者は社長の娘婿で30代後半。

社長に請われ会社を継ぐ決意をしたものの「経営をするのに不安があるからサポート役を付けたい」と条件を出していました。

そのパートナーとして奥村に白羽の矢が立ちました。

 

後継者としては2つの不安がありました。

ひとつはワンマン経営だった義父との関係です。

これまでどおりになってしまったら、自分が社長になってもやりたいようにやれないと不安に思っていました。

 

もう一つの心配点は、そもそも会社のコンディションが良くないことです。

これまでは下請けで大量生産、薄利多売の商売をしてきました。

しかし、近年は注文量も単価も下がって資金繰りを圧迫しています。

借金も年間の売上以上に膨れてしまっています。

 

ミスによる損害発生、そして倒産・・・

奥村が顧問として入り、月1から2回のミーティングを開始しました。

現状を調査し、まず銀行へのリスケジュールを依頼し、月々の返済額を減らしてもらうことにしました。

資金繰りの目途が立つ間に会社を再生するための案を練ります。

また、社長の年齢もふまえ、もし相続が起きたらどうするかという対策も考えました。

 

ところがその取り組みの半ばで業務上の大きな事件が起きました。

製造の外注先であった海外の会社が仕様を誤ったため、大量の作り直しを迫られることになってしまったのです。

会社としてはその費用を補てんしてでも約束通りの品を納める必要があります。

もちろんその費用は、ミスを犯した海外の会社にその分を請求したいところです

しかし相手は「自分たちにミスはなかった」と言い張り、言った言わないの水かけ論の様相です。

さらに、とても補償をできるような資金的余裕はない、とも。

会社としては、回収をあきらめざるを得ない状況となりました。

 

この事件が、事業継続を断念させました。

金銭的に続けることがきわめて困難になりました。

また、これまでどおりの商売のやり方の問題と限界を目の当たりにする出来事でもありました。

 

環境変化に合わせて商売のやり方も変化

社長は会社をたたむことを決意し、後をどうするかは後継者にゆだねられました。

後継者としては、会社を辞めて外で働いた方が楽だったかもしれません。

しかし、他の従業員のことを考えると後ろ髪が引かれます。

また、これまで描いてきた、新しい会社のビジョンにチャレンジしてみたいという気持ちが強くなっています。

そこで、後継者は自分の会社を立上げることを決意しました。

機械や従業員は前社から買い取ります。

なお、先代の会社は弁護士の手で破産手続に入りました。

 

後継者の新会社では、抜本的なスタイルの見直しを図りました。

それでこそ当初は既存の顧客を頼りにしました。

しかし、これまでどおりのやり方に未来はありません。

 

自分たちの経営理念を作り、存在意義を確認しました。

お互いの顔が見え、直接やり取りできる相手からの依頼だけを受けること。

少量生産のために手間は増えても、高利率を維持する。

これまでと同じ轍を踏まないため、こんな制限も自分たちに課しました。

無理をすることなく、自分たちの力量と強みに合わせた地道な経営を続けています。

 

奥村は後継者の参謀として、ここまで、経営アドバイスや手続面でのサポートをしてきました。

いわゆる事業承継とは少し異なる事例でしたが、これも承継のひとつのかたちでしょう。

そして、このような積極的なリセットと価値の再創造が必要なケースというのは実はたくさんあるはずです。

これまでの事業承継では、どちらかといえば受け身でそのまま引き継ぐというイメージがありました。

これらはもう変えなければいけないのかもしれません。

 

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廃業やむを得ずから500万円で一部の事業を社員に売却

過去の事業の失敗による多額の借金

60代後半の社長とお会いしました。

どうにもこうにも銀行への借金返済ができなくなったとのことで、憔悴しきった様子です。

奥村のところに相談に来るまでも、金策で走り回った模様です。

 

飲食系を中心に複数の事業を営んでいる会社です。

過去の失敗による借金が大きく残っていて、返済が資金繰りを圧迫していました。

個人の資産を会社に投入して返済に回したり、親族から借金をしてどうにかこれまで資金ショートを防いできました。

しかし、それらは抜本的改革には程遠いものでした。

単なる延命措置だったと言っても過言ではありません。

個人的な資金を使い果たし、他からお金を借りることができなくなった時点で、これ以上足掻くことはできなくなります。

 

状況的には会社をたたんでいく方向しかありません。

返済を猶予してもらうぐらいで復活できるレベルではありません。

社長も再建をあきらめています。

あとの論点は、そのやり方です。

任意で生産するのか、裁判所で破産手続をするか、など・・・

 

事業を引き継ぎたい社員を独立させる

ただし、この会社の場合、公的なインフラというべき事業もやっていました。

この事業がなくなると多大な迷惑をその施設や地域に与えてしまいます。

また、この事業の数字を細かく見ると、どうにか経営が成り立ちそうです。

会社全体としては負債が大きく、収支面でも赤字を垂れ流しています。

しかし、この事業を単体で見た場合、黒字でやっていける目途が立つのです。

 

丸ごと会社をたたんでしまうのは簡単ですが、価値があり求められる事業は残したいところ。

私は、この事業を引き継ぐ気がある人がいないか探しました。

そして「自分にやらせて欲しい」と手をあげる従業員を見つけました。

以後、彼が独立し、この事業を引き継ぐという方向で全体のプランを描きました。

 

彼は自分の会社を立ち上げました。

そして、事業を買取るために政策金融公庫から創業資金の借入を受けました。

会計士を交えて算出した事業の売買代金は500万円です。

営業権だけでなく、設備やスタッフ、敷金などもまとめて引き継げます。

計画では5年もあれば投資資金を回収できそうです。

 

おかげで一部ではあるものの、事業を残すことでお客さん等への損害を回避し、雇用も継続させられました。

元の会社としても、事業を換金化することができました。

普通にやれば、撤去費用や損害賠償でマイナスが発生することと比べれば、大きなメリットです。

このお金を使って、破産等の予算を作ることができました。

 

商売に関係ない人を巻き込まい

元社員への会社に事業譲渡をしたのちは、弁護士指導のもと破産手続へと進みました。

弁護士とは前もって打合せを重ね、事業譲渡後、スムーズに法的処理ができるようにプランを共有してきました。

 

元社員としては思いがけぬ独立でしたが、大変な中にやりがいを感じて仕事ができているようです。

社長としては気落ちする部分もあったでしょうが、「一部であれ自分がやってきたことを残せてうれしい」としんみりと語っていました。

 

最後に、今回心を痛めたのは、親族との関係でした。

たとえ親族からの借金だろうと、社長は優先して返すわけにはいけません。

債権者は平等に扱わなければいけなないというのが法的なルールです。

 

しかし、一般人である親族にそういった法律論は通じません。

そして「信じていたから貸したのに」とお金を返せない相手を責めます。

銀行等のビジネス上の付き合いではない相手の場合、破産したからといって関係を終えられません。

あらかじめそういった相手まで巻き込まないように、心掛けておくべきなのでしょう。

そもそも、身内にまでお金を出してもらわないといけなくなった場合、それは返済できない借金となっているケースが多いものです。

 

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娘が、役員借入が1億円ある債務超過の会社の廃業を担った事例

役員借入を上手に処理して廃業

50代の女性から『廃業』について相談がありました。

その父母が卸業を長らく営んできましたが、1年前に会社の事務を一人で担っていた母親が死亡。

事業の業績は低迷するものの「家業である会社を潰してはならない」という信念のもと、どうにかこれまで続けてきたそうです。

しかし、父親は80代で健康面での不安があります。

奥さんが亡くなってしまったことで、経営を続ける気力もなくなってしまいました。

そのような状況で、娘さんに会社の処分が委ねられたといういきさつです。

役員借入一億円

会社というものには人の想いや歴史が蓄積されるため、単純に損得勘定では考えられないケースがあります。

今回も、婿養子として迎えられた父親には「なにがあっても自分が会社を終わらせてはいけない」という感情が強くあった様子です。

経営をしても利益を出せないものの、夫婦の個人的な資産を投入して、無理に命をつないでいるような面がありました。

銀行からの借入はありませんが、父母がお金を会社に貸したかたちの、いわゆる『役員借入』が1億円近く積みあがっていました。

 

自主的な廃業から清算手続へ

「どうやって会社を廃業させたらいいでしょうか?」という、娘さんからの相談です。

娘さんはこの会社で働いたことがなく、他の会社の従業員をしています。

経営や会社の法律的なことは知らず、動ける時間もそんなにありません。

そこで、奥村ができるだけ主体的に動いて会社を閉じるお手伝いをすることを引き受けました。

役員借入の処理を急ぐ

会社のたたみ方としては、裁判所を使った破産や特別清算と、任意での清算があります。

今回はコストや時間面から後者を選びました。

 

一番気になるのは、会社が負っている父親からの役員借入金です。

会社の財務状況は債務超過。

資産よりも負債の方がはるかに大きくなっています。

それゆえ、実質的には回収できない貸付です。

しかし、もしすぐに父親にまで相続が起きてしまったら、その貸付も財産として評価されてしまいます。

相続税が無駄に増えることを意味します。

相続税の対象となる財産が1億円増えるのに、実質的にはそんな価値はなく、とても会社から1億円を回収することなんてできません。

 

当然、相続が起きる前に役員借入を早く処理してしまいたいところです。

しかし、会社の清算には官報公告の期間などが必要なため、どんなに焦っても数カ月はかかります。

また、下手に債権を放棄すれば、他の税金の問題が発生してしまうこともあり得ます。

清算を結了し、廃業を実現

仕事を受任してからは、すぐに会社解散の登記をし、清算の手続に入りました。

取引先などへの案内文を作成して、経緯と今後の流れを説明。

在庫は関係者に買い取ってもらい、不動産を売却して役員借入の返済の一部に充てました。

返済しきれない役員借入については、顧問税理士とも相談しながら、放棄の処理をしました。

最後に、清算結了という登記と税務申告をして、一連の廃業手続は終了です。

 

どうにか、一番懸念した父親の相続発生前に会社をたたむことができました。

この手の仕事の場合、解約や資産処分などの事務手続きが大量となります。

また、フタを開けてみないと気付かない細かい論点が出てくるので、その場で対応を考えなければなりません。

 

気がかりだった会社の整理が無事に終わり、娘さんは次のステップに進むことができました。

これからは父親の介護のやり方と、その費用を賄うための資産活用について考えはじめていらっしゃいます。

 

アクションのススメ

事例をお読みいただき、ありがとうございました。

読んで終わりではなく、次につながるアクションにつなげて頂ければ幸いです。

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