奥村聡(事業承継デザイナー)
NHKスペシャルで「会社のおくりびと」として取り上げられた奥村聡が現場で培った経験を元に話します

卸の事業継承・m&a・廃業戦略

卸業の事業継承や廃業等を考える

卸業の「出口」について考えてみましょう。

 

卸業の事業継承は?

通常の場合、卸業の一番の経営資源は『関係性』でしょう。

卸先を押さえていて、仕入先のパイプがあって。

その間をつなぐことで仕事をしてきた業態だと思われます。

反対に、商品以外はこれといった特別な資産を
持っていないケースも多いでしょう。

いわば貸借対照表に現れないところに会社の価値があり、
軽い貸借対照表になる傾向があるのです。

後継者がすでにいて、
これから事業継承を進めていこうとお考えならば、
この肝を外してはいけません。

後継者に一番につなぐべきは、仕事上の関係性なのです。

人脈を引き継がせ、必要があれば、
取引上の慣習や契約条件を確認すべきでしょう。

ただ、人脈をはじめとした関係性は、
その人だから保持できる場合も多いのかもしれません。

個性や相性が作用する面があると思います。

やはり、後継者も自ら独自の関係性を作る努力をしないと
ジリ貧になってしまう不安があります。

 

ビジネス界では『中抜き』の動きが広がっています。

製造者とユーザーが直接つながろうとするのがその典型。

卸業の立場からすれば、自分たちの存在感の低下を意味するはずです。

従来のように商品を右から左に動かすだけでなく、
主体的に仕掛けていかなければいけない会社も
あるのではないでしょうか。

伝統工芸の卸をやっていた知り合いの会社では、
自社のブランドを立ち上げてヒットさせました。

同じ産地の窯元に商品を作ってもらい、
それを買い上げて都内のデパート等へ販売しています。

こうした動きは、情報とつながりを持っていた卸ほど
やりやすいものではないでしょうか。

ある意味で、卸本来の役割なのかもしれません。

これまでどおりが通用しない時代に、
卸業としての新たな役割を確立できれば、
事業継承にも勢いがつくはずです。

 

卸業のM&Aなら

卸業をМ&Aで売却しようとしたらどうでしょうか。

一般的に、特別や技術や資産はないので
買ってくれる相手を選ぶ業態になるでしょう。

売るならば、卸が持っている『関係性』に
シナジーを感じる会社がいいはずです。

たとえば、販売力のない製造業があったとします。

この会社が卸業を手に入れれば、
製造から販売までルートを構築できます。

すでに小売店の棚を押さえていたり、
百貨店との取り引き口座を開設している卸業に
魅力を感じるはずです。

 

 

卸業の廃業・清算なら

卸業の場合、工場等の不動産がないケースも多く、
清算はそんなに難しくありません。

あえて特別な点を探すとすれば、
廃業に関わる連絡をしっかり行うことが
より大切になる点でしょうか。

仕入れ先には、廃業に至った経緯とともに、
いつまでにどうやって買掛金の支払いをするかを伝えましょう。

この連絡をしないと、
仕入先が直に卸先へ連絡を取って
資金を回収しようとしたりすることもありえます。

 

一方の卸先のお客さんには、
いつまで商品を卸せるのかを早めに伝えてあげれば、
先方も助かるでしょう。

先方にも次の卸先を探す時間が必要です。

 

顧客や仕入先にと強くつながっている従業員が多いのも、
この業態の特徴です。

廃業や清算に関わる情報の公開や行動について、
しっかり統制を取るように心がけましょう。

プロフィール

奥村 聡(おくむら さとし)
事業承継デザイナー
これまで関わった会社は850社以上。廃業、承継、売却・・・と、中小企業の社長に「おわらせ方」を指導してきました。NHKスペシャル大廃業時代で「会社のおくりびと」として取り上げられたコンサルタントです。
最新著書『社長、会社を継がせますか?廃業しますか?
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