奥村聡(事業承継デザイナー)
NHKスペシャルで「会社のおくりびと」として取り上げられた奥村聡が現場で培った経験を元に話します

03.株式を集中的に継承させて後継者の苦労を回避

事業継承では株式を分散させない

正直、株式の話なんて、
小さな会社にとってどうでもいい事だと思います。

普段そのことを意識している社長は少ないでしょう。

でも、それゆえに株式がトラブルの原因になっていることが
結構あるものです。

事業継承では経営権を承継することが最重要ですが、
株式(=財産)の承継も考えておかなければなりません。

 

はっきり認識していただきたいのは、
小さな会社ならば株式は社長がすべて持つべきです。

議決権の過半数が云々という話は
どこかに捨てておきましょう。

トラブルを回避し、
経営的な自由を確保しておくことが最優先。

相続税のことを危惧して
株式を分散して相続させようとする方がいますが、
やめておいた方がいいです。

そのパターンで後々問題になって
私のところに相談が寄せられたパターンはたくさんあります。

 

分散株式や名義株はどうする?

もう株式が分散してしまったならば、
集める努力をしなければなりません。

かつては株式会社を作るために
会社設立に発起人が何人も必要だった時代があります。

その名残で、名義だけの株式を持っている他者が
存在していたりすることもあるのです。

名義だけと言っても、あまく見てはいけません。

これらも集める対象です。

後継者は当時の様子を知らないことが多いはずです。

株式を譲ってもらう交渉をするにも、
お子さんには荷が重いものでしょう。

株式を集める算段をつけるのは、
先代の仕事だと思ってください。

 

株式をどうやって子に継承するか?

株式を継承するにはどうすればいいか。

方法としては主に3つあります。

 

①売買

親子間だろうが株式を対象に売買を行うことができます。

なかなか売買で移転するケースは少ないかもしれませんが、
本来ならば後継者は株式を買い取って会社を継ぐべきです。

子供だからと会社を継ぐ義務はない一方で、
やりたいのならお金を出してでもやるものだと思います。

後継者からみたら事業承継は投資の一面もあります。

株式を買い取って会社を運営し、
それ以上の利益を出す。

逆にそのリターンが見えているからこそ株を買う。

商売なのだからこれが本来の姿です。

身内だからというあまえが、
事業承継がこじれる原因になってしまっている気がします。

なお、株の値段は原則自由ですが、
税務上の算定基準よりも安すぎたりすると
税金の問題が発生することがあります。

 

②贈与

親から子へ株式を贈与することも可能です。

生前のうちに株式を移転したいときには
贈与が使われることが多いでしょう。

一般的に贈与税は高額になりがちなので、
株価ややり方に注意が必要です。

年々少しずつ贈与をしていく暦年贈与というやり方と、
相続時精算課税という制度を使って
一気に株式を動かすやり方があります。

 

③相続

お子さんが後継者ならば、
いずれ相続で株式を手渡すことができます。

それでも相続税の問題が起こる危険があります。

また、相続権を持つのは
後継者だけではない場合もあるでしょう。

遺産分割や遺留分といった
ハードルも越えなければなりません。

 

事業継承の株式移転計画を立てよう

漫然と株式を移すのではなく、
まず計画を立てましょう。

年数と移転する株式の数、
さらにそれにかかるコストや税金を検討します。

もちろん、その通りに行かない場合もあるので、
遺言なども使って保険をかけておくといいでしょう。

 

株は事業継承の従たる話

税理士に言わせれば、事業承継は税金の問題です。

「相続税をどう減らすか」が一番の関心事だったりします。

株式の継承にフォーカスすると、
どうしても相続がテーマになり勝ちです。

しかし、経営面から考えると、
相続と事業承継は別物だし、
相続が起きてからはじまる事業継承では遅すぎるのです。

形式的な株式の話は、それはそれで重要です。

しかし、会社は生き物であり、
それを殺さないようにつなげるというソフト面こそが
一番大切なところです。

主従を間違わないようにしたいところですね。

 

「事業承継デザイナー顧問」
継がせられる会社をめざした異常発見と体質改善

事業“承継”計画づくり支援
本格的に次世代への承継に動き出したい方へ

次世代後継者支援について

 

プロフィール

奥村 聡(おくむら さとし)
事業承継デザイナー
これまで関わった会社は850社以上。廃業、承継、売却・・・と、中小企業の社長に「おわらせ方」を指導してきました。NHKスペシャル大廃業時代で「会社のおくりびと」として取り上げられたコンサルタントです。
最新著書『社長、会社を継がせますか?廃業しますか?
興味いただけた方は、リンク先もお読みください。