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後継者不在の場合のアクション

目次

後継者がいない事業承継は最悪への備えから

会社を誰かに継いでもらいたいけど、後継者がいない。

または、希望する人が現れれば継がせてもいい。

こんなケースでのアクションプランを考えてみます。

 

 

 

①まずはデッドラインを決めておく

「もっといい時期に止めれば良かったかも」と、
後悔にちかい感想を、
廃業や再生に取り組み社長から聞くことがあります。

順調な時は「このままでいいや」と
悪いところを見ないで済みます。

そして、そのままズルズルと続けているうちに
どうにもならなくなってしまい・・・

業績が悪くなったり、借金が増えてしまったり。

にっちもさっちも行かなくなったところで断念しつつ、
後悔を覚えるのでしょう。

「もっと早く決断していれば」と。

 

人間ですから、痛い決断はできることなら避けたいところ。

しかし、決断をしないことで
状況はもっと悪くなってしまうことも多いのです。

だから
「デッドラインをあらかじめ設けておくこと」
をおすすめします。

何歳になったらやめる。

借金がいくら以上増えたらやめる。

こうしてあらかじめ線を引いておけば、
底なし沼にはまらないで済むはずです。

 

 

②遺言などで最悪に備えておくことが最大のポイント

後継者がいない会社やお店の場合、
「事業承継の対策と言っても何もできることがない」
となりがちです。

でもそんなことはありません。

たとえばこのまま放置していたらどうなるでしょうか。

 

誰も事業を継がないまま社長がお亡くなりになるとします。

誰が後のことを処理してくれるでしょうか。

会社のことを分かっている人はいますか。

仮にいたとしても、その人が亡き社長に代わって
店じまいをする権限はありますか。

株式総会の議決権などを
付与できるようにしておかなければいけません。

将来を見据えて備えておかなければいけないのです。

 

上手に先回りをして手を打っておかなければ、
多くの会社の関係者に迷惑をかけることになります。

ご家族に過大な借金や連帯保証まで
背負わせてしまうことだってあります。

 

遺言などを活用して「そのとき」の作戦を立てておきましょう。

なお遺言などの作成を
「後継者さがしをしてみて、相手が見つからなければすればいい」
とお考えになる方もいるかもしれません。

しかし一度先延ばししたら、
ズルズルといってしまって
結局作らないでままになってしまうもの。

相手によって成否が分かれるものより先に、
自分でできることを
しっかりやっておくのが鉄則だと思います。

なお、たとえ状況が変わっても、
遺言は何回だって書き直せるのでご安心を。

 

 

③後継者や事業の譲受人を探す

後継者が見つからずに廃業しかないと思っていたとしても、
一度事業の継ぎ手を探してみていただきたいものです。

終わらせるのは一瞬ですが、
これまで積み上げてきた価値が
残されることを祈ってやみません。

後継者さがしをトライしていただけることを願います。

 

オープンマインドで

この状況で後継者を見つけるアイデアを考えてみました。

まず、オープンな姿勢で探すことです。

みなさんこの手の話を隠したがります。

だから余計に継ぎ手がみつかりません。

しかし、後継者が見つからなければいずれにせよ
結局は廃業するしかありません。

ならば開き直って募集してみてもいいのではないでしょうか。

なにも恥ずかしいことではなく、
正直なその姿は人の心を動かすはずです。

オープンにできれば、
SNSなどのインターネットでつながったこの時代です。

未来の後継者と出会うチャンスはかなり高まるはずです。

 

譲渡の条件は柔軟に

次に候補者が見つかった後の話です。

引き継ぎ条件の交渉をすることになるはずですが、
その際、柔軟に先方のリクエストを聞いてあげてください。

譲渡対価についてですが、
相手に資金力がなければ、
分割払いだってできるのです。

営業をしながら月々払ってもらうのはどうでしょうか。

 

また、社内にネガティブな部分がある場合です。

負債が大きすぎるとか、
不採算事業があるとか、
要らない資産があるとか・・・

こんな時は事業の一部だけを譲り渡すことだってできます。

なにも丸ごと引き受けさせるばかりが手ではありません。

部分的に譲るという発想ができるだけで、
間口が相当広がりるものです。

 

なお、このような柔軟な継がせ方は、
М&A仲介会社などが関わっていても
おそらく提案されないでしょう。

面倒なことはできるだけ避けたいのが本音でしょう。

 

 

事業承継をするメリット(まとめにかえて)

備えだけはしっかりしつつ、後継者を探してみる。

これが後継者がいない会社の社長に
提案したいアクションプランです。

もちろん結果はどうなるかわかりません。

しかし、面倒であってもチャレンジする価値はあると思っています。

 

ひとつは金銭的なメリットです。

ただ廃業するよりも、
誰かに継いでもらったほうが一般的に利益が高まります。

廃業や閉店をするのにも費用はかかるものですから。

たとえ事業の一部でも引き継いでもらえれば、
事業を資金化し、
出費を引き下げるチャンスも生まれます。

 

そして、もう一つのメリットは心情的なものです。

社長はみなさん、
人生をかけて会社をやってこられた方ばかりです。

その作品であり、子供の様でもある会社が
残ったほうがいいはずです。

 

個人的な話になりますが、
僕は自分で立ち上げて育てた会社を
第三者に譲渡したことがあります。

そのとき、
自分が心血注いで作ってきた事業が
他者から評価してもらえたことが
本当にうれしかったことを覚えています。

そして、引き継いでもらえることで
事業が残せたことに
しみじみとありがたさを感じました。

〜お知らせ〜
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この記事を書いた人

奥村 聡(おくむら さとし)
事業承継デザイナー
これまで関わった会社は1000社以上。廃業、承継、売却・・・と、中小企業の社長に「おわらせ方」を指導してきました。NHKスペシャル大廃業時代で「会社のおくりびと」として取り上げられた神戸に住むコンサルタントです。
最新著書『社長、会社を継がせますか?廃業しますか?』
ゴールを見すえる社長のための会【着地戦略会】主宰

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