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リスケジュール中の会社はどうすれば復活できるか?

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銀行債務の返済猶予(=リスケ)の出口は?

2009年に成立した
「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」、
いわゆる金融円滑化法は、
中小零細企業や住宅ローンの支払いについて、
返済困窮者の希望により返済が猶予されることを規定しました。

そのおかげで、銀行から債務を負っている会社は
かつてより簡単に返済猶予(リスケジュール)を
受けられるようになりました。

実際にリスケジュールを申し出た会社も増えたことでしょう。

では、リスケジュールを受けた会社は、
その後どうなったのでしょうか?

 

リスケをしてもほとんど復活できていない事実

銀行にリスケジュールを申込、
返済の猶予をしてもらったとしても、
それは一時的な助けにすぎません。

数年のうちに通常返済に戻れるようになることが
原則とされているのです。

ところがリスケを受けた企業のうち、
どれぐらいの会社が通常返済に戻れているのでしょうか。

かつて私が銀行員等に聞いてまわった経験では
1割ぐらいの様子でした。

残りの9割もの会社は、
リスケをしても復活できていないということになります。

利息だけを支払って元金の返済は猶予してもらい、
保証協会への保証料を納める。

毎年それを繰り返しているわけです。

業績や財務内容は上向くこともなく、
復活するわけでもなければ、
倒産するわけでもない。

そして、じわじわと会社の体力を落としていく。

こんなサイクルを繰り返す会社が大半なのです。

 

再生計画を出したところで復活できない

銀行はリスケジュールに応じる条件として
再生計画の提出を求めてきます。

しかし、この再生計画を立てたところで
まず復活はできません。

そこで出している再生計画は、
銀行側の理屈に寄り添った
『絵に描いた餅』であることが想像されます。

もちろん、実際にはリスケジュールからの再生を
成し遂げた会社もあります。

素晴らしいことです。

ただ、ここで論じている会社ではありません。

それ以外のほとんどの会社は
リスケでは復活できていないのです。

 

リスケ中は返済が猶予される代わりに、
新たな投資資金の調達は困難です。

しかも、重たい過去からの負の遺産を引きずっています。

その状況にある会社がちょっと業務を改善しようとしたところで、
復活できないのはある意味当然だと思うのです。

もっと大胆な手を打たなければいけないのではないでしょうか。

これまでの延長線上には復活の道はないのです。

 

分社で会社のリノベーションをする

リノベーションという言葉をご存知でしょうか。

意味はよく分からずとも耳にしたことぐらいはあるかと思います。

もともとは不動産業界の用語です。

既存の物件を転用し新たな価値を生み出すことにあります。

たとえば環境が変わって空室だらけになっていたアパートを、
ゲストハウスに転用して価値を産みなおすような取組みです。

リスケ中の会社にもこのような発想が必要なのではないでしょうか。

ちなみにリノベーションと似た言葉でリフォームがあります。

私の認識では、リフォームは元ある状況に戻そうとすることです。

一方のリノベーションは、
既存のものを別の活かしつつ、別の価値を作ろうとする取り組みです。

今、会社を復活させるに有効な発想は、
やはりリノベーションなのです。

 

「捨てると活かす」でリノベーション!

リノベーションはいかにして実現するか。

不動産も会社も本質は同じ「捨てる」と「活かす」です。

資源や技術、人、個客との関係・・・など
既存の要素を見定め突破口を探します。

そして方向性が定まれば、そこにすべてを集中させます。

 

残りは思い切って捨てるのです。

たとえば物売りをしていた会社に、
人を啓蒙できるレベルのノウハウや知恵があったとします。

その知的資源で突破していくと決めたら、
一気に教育事業やコンテンツ事業に生まれ変わらせます。

結果、もしかしたら
既存の店舗や商品は不要になっているかもしれません。

それでもいいのです。

コンセプトを生かすために大胆に捨てなければいけません。

中途半端は悪です。

 

時代が変わり経営環境も大きく変化しています。

これまでどおりが通用しなくなっている場面が多々あります。

こうした思い切った転身が必要な場合は多いはずです。

 

再生に踏み出すのデメリットは?

会社のリノベーションの場合、分社を使うケースが多いでしょう。

既存の法人を使うと過大な債務などを引きずらなければいけません。

それではリノベーションが中途半端におわってしまいます。

必要な部分を別会社に移し、そちらでリノベーションを実現します。

 

では残った方はどうなるでしょうか。

ここにリノベーションに踏み出す場合の痛み(デメリット)があるのです。

旧会社に負債は残るので、その返済義務があります。

支払えないなら自宅の売却などを迫られるかもしれません。

そんな場合でも対応方法がないことはありません。

ただし、あまい話ばかりではないということは
理解しておいていただきたいところです。

それでも今手を打たなければ、
結局すべてが無に帰すようなケースも多いかと思われます。

 

積極的に打って出て、残せるものを残す。

生かせるところを活かして、価値を作る。

こんな発想が求められるときなのだと思います。

 

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この記事を書いた人

奥村 聡(おくむら さとし)
事業承継デザイナー
これまで関わった会社は1000社以上。廃業、承継、売却・・・と、中小企業の社長に「おわらせ方」を指導してきました。NHKスペシャル大廃業時代で「会社のおくりびと」として取り上げられた神戸に住むコンサルタントです。
最新著書『社長、会社を継がせますか?廃業しますか?』
ゴールを見すえる社長のための会【着地戦略会】主宰

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